ライバルのフォード・シエラRSとタイトルを争う高性能ぶりを発揮
6気筒エンジンは、車両の絶対重量、前後バランス、さらにはハンドリングで不利になることを承知していたBMWは、M3用のエンジンとして、M1で使われていた3.5リッター直列6気筒4バルブDOHCのM88型から2気筒分を切り落とした2.3リッターの4気筒S14型エンジン(初期型195ps、最終型220ps)を開発、搭載。M88型エンジンは、安定した高出力性、壊れないことから、グループC2カー用として需要の高い人気のエンジンだった。
BMWの選択肢としては、純レーシング仕様のM12系エンジンを使う手もあったが、M3が量産高性能ツーリングカーという点を考慮し、M88系からの派生となるS14型を新たに開発するという事情があった。
M3は1986年に市販され、ETCには1987年からの投入となったが、狙いどおりに2クラスで圧勝。白地に青/紫/赤のストライプを配したワークスカー(シュニッツァー)の戦闘力は圧巻で、最大排気量クラスのフォード・シエラRSとタイトルを争う高性能ぶりを示していた。
また、日本のプライベーターも積極的にM3を入手。まっ先に投入したオートテックM3の快走ぶり、好成績は印象的だった。なお、市販のM3は1989年にスポーツエボリューションに発展し、排気量を2.3リッターから2.5リッター(238ps)に引き上げていた。
その後M3は、次世代モデルのE36型以降も企画され続けたが、生産車の段階でレース対策が施されたモデルは初代E30型のみ。言ってみれば、サーキットレースのDNAで作られた車両だけに、現在その付加価値が見直され、車両人気が高騰中という状態である。