F1チームオーナーがオーダーしたスペシャルモデル
1970年代に巻き起こった、第一次スーパーカーブームを経験した世代にとってはお馴染み過ぎる存在、「ウルフ・カウンタック」ことランボルギーニ カウンタック LP500S ウルフ・スペシャル ♯1。かつて松田優作さんが出演した1979年公開のハードボイルド映画「蘇える金狼」に登場したことでも有名だ。今回はウルフ・カウンタックを紹介していこう。
ウルフ・スペシャルは全部で5台ほど存在した
カナダの石油王であり、F1チームのオーナーとしても知られたウォルター・ウルフ氏が 、イタリアのサンタアガタ・ボロネーゼにあるアウトモビリ・ランボルギーニ S.p.Aから購入したランボルギーニ カウンタックのスペシャルモデルは全部で5台ほど存在するといわれている。
1台目はルーフにウイングを装着した白いカウンタック LP400、2台目は「蘇える金狼」でスクリーンデビューを果たしたランボルギーニ カウンタック LP500S ウルフ・スペシャル ♯1、3台目はさらなるパワーを求め、排気量5000ccのV型12気筒エンジンを積んだ青色の個体、4台目は前述の5000ccエンジンが移植された紺色の個体、5台目はランボルギーニ創立25周年記念モデルのアニバーサリーをベースとした個体だという。
1台目と5台目の存在があまり知られていないため、自動車専門誌においても2台目からカウントしており、本稿も2台目をランボルギーニ カウンタック LP500S ウルフ・スペシャル ♯1という車名で語っていく。
なお、当原稿を書き進める過程で、排気量5000ccのV型12気筒エンジンは計4基存在したのでは? という情報をゲットした。1基はテストドライブ中のクラッシュで車両と共に消失し、残りの3基のうちの1基を青色のウルフ・カウンタックに搭載。
その他の2基は上顧客(LP400を造っていたとき、ランボルギーニは経営難に陥っていたが、ウォルター・ウルフ氏だけでなく、フェルッチオ・ランボルギーニの親友だったアーミン・ヨール氏をはじめとするパトロンたちも資金面でサポートしていた)が愛用しているカウンタックに積まれたのでは? というのだ。
いまでも、その他の2基が現存しているのか分からないが、自身のカウンタックが排気量5000ccのV型12気筒エンジンを積んでいるとは知らずに乗っているケースがあるかもしれないので、いつの時代にもスーパーカーにまつわるエピソードは我々を楽しませてくれるのであった。