迫力あるスタイリングはのちのLP400Sにも受け継がれた
今回ピックアップしたカウンタック LP500S ウルフ・スペシャル ♯1は、扁平ワイドタイヤのピレリP7を履かせるためにカウンタック LP400のトレッドを拡大し、前後にオーバーフェンダーを装着したランニングプロトだったといわれている。
上記の仕様変更に加え、見る者に精悍な印象を与えるフロントスポイラーおよびリアウイングが付けられ、スタイリッシュなブラボーホイールまで奢られた。
それらを装備した迫力あるスタイリングは、のちにカウンタックLP400の改良型として1978年に登場したカウンタック LP400S、その発展版として1982年にリリースされたカウンタック LP5000Sへと受け継がれた。
340km/h仕様のスピードメーターを装備
ノーマルのカウンタックLP400との差異は多岐にわたり、既述した文章と重複するモノもあるが列記すると、カウンタック LP500S ウルフ・スペシャル ♯1は、コニ製サスペンション(アルミケース車高調)、大型化されたブレーキシステム、ブレーキ冷却用ダクトホース、オーバーフェンダー、フロントスポイラー、リアウイング、マグネシウム製ブラボーホイール、扁平ワイドタイヤのピレリP7、340km/h仕様のスピードメーターなどを装備している。
ちなみに、一説によるとタイヤメーカーのピレリは、1974年のカウンタック・デビューまでにP7の開発を間に合わせると、当時、ランボルギーニにメカニック/テストドライバーとして在籍していたボブ・ウォレス氏に約束していたという。
しかし、残念ながらそうはいかなかった。ボブ・ウォレス氏はP7の登場を待つべきだとフェルッチオ・ランボルギーニ氏(創業者)に進言したものの受け入れられず、結局ナローボディのカウンタックLP400がリリースされることになったようだ。
そして、ピレリがP7をアウトモビリ・ランボルギーニ S.p.Aに届けたときには、すでにフェルッチオ・ランボルギーニ氏は会社を去り、ボブ・ウォレス氏も退社寸前で一線を退いていた。
そのため、カウンタック LP400にP7を履かせるというアイデアは、アウトモビリ・ランボルギーニ S.p.Aを金銭面で支えていたウォルター・ウルフ氏と、その時分にランボルギーニのチーフエンジニアとして手腕を揮っていたジャンパオロ・ダラーラ氏のコンビに託された。ウルフ・カウンタックのことをダラーラ・カウンタックと呼ぶことがあるが、それはダラーラ氏が深くかかわっていたからだ。