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日本に存在する伝説の「カウンタック」! 「 LP500S ウルフ・スペシャル ♯1」とは

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TEXT: 高桑秀典(TAKAKUWA Hidenori)  PHOTO: 高桑秀典、LAMBORGHINI、Auto Messe Web編集部 米澤 徹

日本国内で大切に守られてきたウルフ・スペシャル ♯1

 カウンタック LP500S ウルフ・スペシャル ♯1がファクトリーからラインオフしたのは1975年8月1日のことだった。最初のオーナーであるウォルター・ウルフ氏が、F1グランプリで世界を転戦する際に飛行機で持って行き、自身が運転して、空港からサーキットまでドライバーを送ったりしていたと言われている。

 日本に上陸した日時と販売価格は不明だが、往時に我が国を代表するスーパーカーショップのひとつとして君臨したオートロマンが輸入し、山形で登録されたことが分かっている。

 山形で最初のナンバーを取得した後、月日は流れ、広島へ。そのときのオーナーが近所の子どもに洗車を手伝ってもらい、そのお礼として日本上陸時に付いていたイタリアのナンバープレートをプレゼントした……という面白エピソードが残されている。

 以来、カウンタック LP500S ウルフ・スペシャル ♯1は、各地で開催されたスーパーカーショーで披露されたり、映画に出たりしながら、日本国内でずっと大切にされてきた。広島在住のオーナーのもとに嫁いだりもしたが、海外に売買されることはなく、現在も神奈川県内の某所にて棲息している。

世界に一台しかないという何にも替えられない希少性

 筆者のおぼろげな記憶では、日本に入ってきたのは1976年ぐらいのことだったのかもしれないが、当時からカウンタック LP500S ウルフ・スペシャル ♯1は花形のスーパーカーだった。特に現在55歳前後の人々にとっては激アツの一台で、世界に一台しかない、という点などが注目された。

 かく言う筆者は1971年生まれなのだが、その世代にとってはウルフ・カウンタックだけが凄かったという印象ではなく、ブラックボディにホワイトのウェーブラインが特徴的でミステリアスなカウンタックLP500Rも激アツだったと記憶している。

ウルフ・スペシャル ♯1は、間違いなく自動車世界遺産

 現在、カウンタック LP500S ウルフ・スペシャル ♯1を所有しているのは、スペシャルショップ「アウトモビーリ ヴェローチェ」の岡戸代表だ。

 20年近く前に購入したそうだが、そのときはまともに動かず、2~3年かけて内外装のレストアとエンジンのリセット作業(車載状態のままで行えること)をしたという。エンジンは、その後、車体から降ろし、細部に至るまでしっかりオーバーホールを行った。

 そんな事情もあって、オーナーになったときの最初の印象は芳しいものではなく、「乗って帰れると言われたのに帰れず、ボディは凹んでいるし、マフラーは直管だし、全体的にくたびれているし、自分が子どもの頃に抱いていたイメージとはまったく違うな…(笑)」という感じだったという。

 ウインカーレンズの下に貼られた、ドイツの自動車雑誌「rallye racing(ラリーレーシング)」のステッカーも岡戸さんが購入したときにはなく、これはラリーレーシング取材時の姿に戻すレストアをした際に貼ったモノとのことだった。

 ランボルギーニ カウンタック LP500S ウルフ・スペシャル ♯1は、間違いなく自動車世界遺産だといっていい。その価値を誰よりも理解している岡戸さんのもとにあるかぎり、ベストな状態をキープしたまま維持されていくだろう。神格化された存在として、往時のスーパーカーブームを牽引したウルフ・カウンタックの輝きは、これからも色褪せることはない。

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  • 高桑秀典(TAKAKUWA Hidenori)
  • 高桑秀典(TAKAKUWA Hidenori)
  • 本業はフリーランスのライター兼エディター。1998年に買ったアルファ ロメオGT1600ジュニア(通称:水色号)を現在も愛用しており、すでに総走行距離が30万8000kmオーバーとなっている(2022年4月中旬現在)。クラシックカーラリーに水色号で参戦取材することがライフワーク(?)となっており、群馬をホームタウンとして開催されている「スプレンドーレ」では、柴犬を“ワン・コドライバー”、秋田犬を総監督として挑んでいる。全国各地に水色号でお邪魔しているので、これからも走行距離が順調に伸びる予定。
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