さらなる相場上昇のキッカケとなった2018年の出来事
それに引っ張られるように歴代GT-Rの中古車価格もうなぎ上りに。BNR34のニュルで程度が良く、走行距離の少ない個体は2014年に1000万円を軽く超え、2016年には1500万円超、2018年には2000万円超とアップ。平均すると年間250万円という日本車としては異常な上がり幅を見せたのだ。
そして、現在の異常相場のきっかけを作ったと言われるのが、2018年1月の東京オートサロン内で開催された「BHオークション」。“未登録・走行10km”という奇跡のVスペックIIニュルが3200万円という価格で落札されたことにより、今後相場が上がることを懸念した国内を含む世界各国のオーナーが日本のBNR34に群がり、価格をさらに大きく引き上げることとなったのだ。
そして2020年。新型コロナウィルス蔓延予防対策として発令された最初の緊急事態宣言時はやや相場を下げたが、宣言解除後は反発するかのように急角度で跳ね上がり、ついには業者オークションで3000万円を超える価格で落札される個体が出始めるなど、もはや天井知らずの勢い。2度目の緊急事態宣言下では下落の兆しはまったく見えず、どこまで上がるのか予想がつかない状態となっている。
また現在はニュルだけでなく、「ミッドナイトパープルII/III」の限定車も人気。ニュルほどではないが、程度次第で軽く2000万円超のプライスになることは間違いない。希少車を手に入れたい思いは万国共通で、この傾向はBNR32やBCNR33も同じである。
相場上昇の原因は25年ルール以外にあり?
さて本題。例のBHオークションは別としてBNR34の相場がなぜ高騰したのかというと、一部の地域を除き国外輸出がなかったドメスティックなスポーツカーであったことが大きな理由だ。そして前述したアメリカの25年ルール。BNR34は3年後の2024年から正式に輸出できるので、バイヤーたちがいまからストックに励んでいる可能性は高い。
次に海外コレクターの購入だ。特に右ハンドルの国であるイギリス、オーストラリア、ニュージーランドでは人気が高い。イギリスは1999年に100台限定で正規輸出されており、オーストラリアではBNR32がグループレースにも参戦するなどGT-Rに対してなじみは深いが、その存在を広く一般に知らしめたのはソニーのゲーム機「プレイステーション」と、アメリカのカーアクション映画「ワイルドスピード」。そしてインターネットの普及もあり、BNR34の情報は瞬く間に拡散されたのだ。ちなみに、これらの国にはGT-Rのオーナーズクラブも存在。日本のマーケット同様に熱狂的なファンに支持されている。
イギリスはお金持ちのコレクターが中心だが、オーストラリアは数年前まで一般人も多かった。それはオーストラリアは日本よりも平均時給が約2倍高い(物価も2〜3倍高い)からで、単純計算だが日本で1000万円のGT-Rはオーストラリア人にとっては500万円程度の価値となり、頑張れば買える感覚。そのため、オーストラリアへの輸出がさかんに行なわれていた時期もあった。