奪い合いはもはや世界レベルに発展
アジア圏で特にGT-Rの人気があるは香港(中東エリアも熱いが…)。毎年マカオで開催される「ギアレース」には日本のスポーツモデルが数多く参戦。一昨年までは日本のチューナーである長野の「ATTKDオーテック」が香港チームとタッグを組んでBNR34を走らせるなど、GT-Rに対する認知は高い。
その香港のクルマ好き裕福層が昨年春から日本のスポーツカーを買い漁っているようだ。それはどうやら現在の香港問題が影響しているようで、民主の弾圧が進む中、コレクターたちは「中国化が推し進められると、本土のように自国産業保護のため、中古車の輸入が制限されるのではないか」という懸念を持っている。そのため「買えなくなる前に買っておこう」という動きが加速し、BNR34も複数台が香港に流れているという噂だ。
つまりBNR34の人気はいまやアメリカだけでなく、欧州、豪州、そしてアジア圏など世界規模で広がりをみせている。こうなれば、まさにタマの取り合い。金に糸目をつけない買い付け合戦はリーマンショック級の世界経済破壊でも起きない限り、その勢いは衰えることはなく、特に海外で人気の高い限定車については日本からの流出を避けることはできないだろう。
BNR34の価値が認められ、異常相場となっていることはある意味喜ばしいことではある。ただ、冷静に吟味してそこまでの金額を払う価値があるかといわれれば、素晴らしいクルマではあることは間違いないが、コンディションを考えると少し疑問符がつく。さらに購入者のほとんどが投機目的もしくは海外のコレクターのようで、本当に走って楽しみたい人の手にほぼ行き渡っていないのは悲しい限りだ。現在所有しているオーナーは、日本の至宝といえるBNR34を大切に乗り続けてほしい。