フィットはふたつの”安心ボタン”を備えている
一方、足腰は問題なく、しかしできるだけ安心できて、運転がしやすいコンパクトカーに乗っていたい……というなら、ホンダ・フィットを候補に挙げたい。安心という点では、ホンダコネクトに注目だ。
スマホ不要の専用車載通信モジュールに加え、ホンダアクセスが用意する9インチナビゲーションを装備することで、前席頭上に、エアバッグ展開時には自動通報、任意でも体調不良、あおり運転被害時などに通報できる赤いSOSボタンと、普段から使える青いトラブルサポートボタンのふたつが備わっている。
前席頭上にそんなふたつの”安心ボタン”を備えているクルマなど、ほぼないに等しく、高齢者でも(もちろん家族も)絶大なる安心感とともにドライブを楽しむことができるというわけだ。
しかも、斜め前方視界をまったくジャマしない(その存在に気づきにくいほどの)極細Aピラーによるロマンスカー(新宿〜箱根をつなぐ小田急電鉄の特急列車)最前列のようなパノラマ視界は、まさにクルマらしからぬ新鮮な運転感覚をもたらしてくれるとともに、抜群の運転視界の良さ、運転のしやすさを実現している(全方向ともに視界はいい)。
全高、室内高が1515mm、1260mmと、コンパクトカーとしては高めで余裕があり、一般的なドライバーズシートながら、乗り降りのしやすさは、コンパクトハッチバックタイプのクルマとしては文句なしと言っていいだろう。
コンパクトカー最大級の後席居住空間も備えているフィット
このフィットは歴代同様、世界のコンパクトカー最大級の後席居住空間も備えている。よって、高齢者のお仲間を誘っての後席乗車による老人会ドライブ!? も、乗降性・居住性を含め、らくらく快適にこなしてくれる実力の持ち主でもあるのだ。
この点では、前席優先パッケージで、後席がそれほど広くない、1~2名乗車に適するヤリスをリードするポイントになる。
そして、個人的に、高齢者に向けてフィットを推す理由が、電子パーキングブレーキとともに備わるオートブレーキホールド機能の装備である。高齢者が渋滞、頻繁な信号待ちで、ブレーキをギュッと踏み続けるのは、結構な筋力が必要だ。
結果、右足が疲れ、もしかしたらそのうち筋肉痛に見舞われ、シビれてきてしまうかも知れない(これはブレーキが踏めなくなる可能性があり、極めて危ない)。が、オートブレーキホールド機能をONにしておけば、ブレーキペダルを踏まなくてもブレーキ機能が保持され、疲れない。高齢者でなくてもありがたみを感じること間違いなしの機能なのである。
もちろん、運転には支障がないものの、足腰に自信がなく、一般的な運転席への乗り降りが大変……というなら、ヤリスのターンチルトシート装着車を検討すべきだろう。
その場合は、くどいようだが、お店に装着車を用意してもらうなどして、実際にターンチルトシートを試し、ターンチルト操作、乗り降りが無理なく行えることを確認してから注文、購入すると安心だ(ターンチルトシートは助手席にも別途、税込み9万200円で装着できる)。