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30年前の「SUV」じゃない「RV」ブーム! 王道以外のイケてる「個性派」ヨンク7選

王道以外にも個性派モデルが次々と登場

 いまから約30年前、日本の「RVブーム」ではパジェロ、ランドクルーザー、サファリ、ビッグホーンなどの王道だけではなく、ユニークでカッコイイ四駆がたくさん存在した。言い換えれば各メーカーの意欲が詰まったモデルたちであり、いまなお魅力的に映るのは筆者だけではないはず。中古車市場でもなかなかお目にかかれないモデルも多いが、当時はどんな四駆があったのか紹介しよう。

【トヨタ・ハイラックスサーフ】

 ハイラックス(ピックアップ)の派生モデルとしてラインアップされていたハイラックスサーフのルーツは、1980年代初頭まで遡る。当時、米国西海岸でピックアップトラックに「シェル」を被せたカスタムが流行っていて、米国のキャンピングメーカー「ウィネベーゴ・インダストリーズ」がハイラックスをベースに架装した「ウィネベーゴ・トレッカー」を販売。その後、トヨタはアメリカで「4Runner(フォーランナー)」として発売された。

 ハイラックスサーフの日本デビューは1984年。初代のN60系は、西海岸スタイルが日本のユーザーに受け入れられて大ヒット。筆者も一度は所有してみたいと考えているが、現在中古車市場ではほぼ流通していなく、たまに出ても100万円以上のプライスタグが付けられることも珍しくない。

 1989年に2代目(130系)へとバトンタッチ。FRPを被せたスタイルから1ピースボディになり、ニーズが高い4ドアモデルもラインアップされた。RVブーム真っ只中だったこともあり、若者を中心に爆発的なヒットを記録。四駆の新しいスタンダートを築いたモデルといえよう。ちなみにサーフの場合は、他の四駆とドラビングポジションが大きく異なり、足を前に投げ出す乗用車感覚のポシジョンが特徴だ。最終モデルのパワーユニットは3LV6ガソリン(3VZ-FE)に加え、ディーゼルらしからぬ動力性能を持つ名機1KZ-TE(直4ディーゼルターボ)を搭載した。

 その後は1995年に3代目(185系)へ進化。この時からプラットフォームとエンジンをランドクルーザー・プラドと共用するようになった。2002年に4代目(215系)が登場したが、残念ながら2009年にランドクルーザー・プラドと統合されるカタチで日本での歴史に幕を閉じた。185系、215系は中古車も比較的流通しているが、10年から20年近く前の中古車としては高めで100万円〜300万円台と、人気の高さがうかがえる。

【ニッサン・テラノ】

 ニッサンからはダットサントラック(D21)をベースに、ステーションワゴンの要素を取り入れたテラノ(WD21)が1986年にデビュー。ボディを低く抑えたスタイリッシュな佇まいはシティ派に支持された。デビュー当時は2ドアモデルしかなく、ロールバーをイメージさせる後席の三角窓がじつにユニーク。

 1989年には4ドアモデルを追加。デビュー当時、パワーユニットはNAの2.7L 直4ディーゼルのみだったが、ガソリン3.0L V6モデルの導入やディーゼルエンジンのターボ化などが行なわれる。ガソリンモデルは軽快な出足の鋭さが印象的だった。

 そんなテラノは1995年に国内最終モデルとなる2代目(R50)にモデルチェンジをする。スタイリッシュな四駆というコンセプトはそのままに、精悍なエクステリアや快適な室内空間とした。また、高いオフロード性能とオンロード性能を両立させ、1998年には累計生産台数100万台を突破。しかしRVブームの収束と共に2002年をもって国内販売終了が終了。

 海外向けとしては「パスファインダー」の車名で大型化しながら3代目(R51)、4代目(R52)まで進化している。2013年にインド専用小型SUVとして新生テラノが発表されたが、ルーマニアの自動車メーカー ダチア(ルノーグループ)の「ダスター」をベースに意匠変更したモデルのようで、かつて日本で大流行したテラノの後継モデルとは言いがたい。

 中古車相場は初代(WD21)、2代目(R50)ともに50万円台からあるようだが、タマ数が少なく簡単には手に入れられない状況だ。初代の3ドアモデルをフルノーマルで乗っていたらちょっとオシャレなんじゃないかと思うのは筆者だけだろうか。

【ニッサン・ミストラル】

 1994年から1998年まで販売されていたミストラルをご存知だろうか。スペインでテラノIIという車名でヨーロッパ向けに作られていたものを国内販売したのだ。

 ダットサントラックやテラノのフレームを基本としていたが、エンジンは中低速トルクを重視した扱いやすい特性で、当時のディーゼル車のイメージを覆す鋭い加速が魅力的だった。いまでは街中でも中古車市場でもほとんどお目にかかれないモデルだ。

【三菱・チャレンジャー】

 サーフやテラノに対抗するべく、三菱が投入したのがチャレンジャーだ。そのデビューは1996年、2代目パジェロのラダーフレームを採用しながらもスタイリッシュな外観が与えられたパジェロの弟分のような存在で、当時はまだ珍しかった背面タイヤレス仕様が印象的だった。また、ダカール・ラリーでも増岡 浩選手が1997年から3年連続でチャレンジャーをドライブしている。

 1998年のモデルチェンジでフルタイム4WDに変更されたが、売れ行きは好調とはいえず2001年に国内販売が終了。海外ではその後もパジェロスポーツという車名で販売され続け、進化を遂げている。もう少しデビューが早かったらヒットしたかもしれない。中古車市場ではタマ数は少ないものの40万円台で販売されている。

【いすゞ・ミュー/ミュー・ウィザード】

 ビッグホーン以外にもいすゞからはユニークな四駆が販売されていた。1989年にデビューしたミューは国産車初の2シーター・3ナンバー車で、ショートホイールベース&ワイドトレッドで、まるでおもちゃのようなボディ形状(全長4135mm、全幅1765mm)がとても斬新。

 デビュー当初はFRPのトノカバーを持つハードカバーと幌モデルのソフトトップがラインアップされた。ピックアップとは異なりキャビンと荷台が区別されていなく、レジャーユースやスタイルに振った「Mysterious」と「Utility」の頭文字を取った車名どおりの個性的なモデルだ。1990年には4人乗りのハードトップモデルが追加されたほか、1995年には5ドアモデルのミューウィザードを追加。

 1998年に2代目へとシフトしたが、初代と比較してやや控えめなデザインとなった。残念ながら2002年をもって国内販売が終了したが、特に初代ミューはいまでも十分に通用するキャラクターとパッケージだ。筆者も一時期本気で所有したいと思い中古車市場をチェックしていたが、なかなかお目にかかることができない。

【いすゞ・ビークロス】

 1993年の東京モーターショーにいすゞは、サイモン・コックスがデザインした未来感あふれるコンセプトカー「ヴィークロス・コンセプト」を出品(ジェミニベース)した。あの時は「もしかしたら未来のクルマはこうなるのかもしれない」と思ったものだが、いすゞは約4年後の1997年、コンセプトカーに限りなく近いデザインの市販車「ビークロス」をデビューさせた。

 市販車は「All Round Real Sports」という新しいコンセプトの基、ビッグホーンがベースとなっており、そのユニークなデザインだけではなくオンロード・オフロード性能ともにトップクラスの性能を誇っていた。

 パワーユニットは3.2L V6ガソリン(6VD1)で、4速AT/2ドアモデルのみ。レカロ製のシートやMOMO製のエアバッグ内蔵ステアリング、バックアイカメラ標準装備など豪華な仕様ながらベースグレードで300万円を切っていた。

 しかし、販売面では思うようにいかずわずか2年で国内販売が終了してしまった。ビークロスは時代を先取りしすぎてしまった珍車であり名車なのだ。中古市場では元々の流通量が少ないので見つかりにくいが、いま乗っていても古臭さを感じない魅力的なクルマだ。

【マツダ・プロシードマービー】

 なんとマツダからもこんなにイケてる四駆が販売されていた。プロシードマービーは1965年から1999年まで日本で販売されていたプロシードの派生モデルとして1991年にデビュー。3代目プロシードのダブルキャブをベースにしていて、畳1枚以上、高さ85cmもの広いラゲッジスペースが特徴だ。

 当時の国産四駆としては迫力あるボディサイズでホールベースも3mあるリアドアがタイヤハウスにかからず、国産車らしくないアメリカンな雰囲気が魅力的な四駆だ。

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