サーキットではスピードリミッターが邪魔になることも
一般道と違い速度の制限がないサーキット。パワーがある国産車の場合、長いストレートで180km/hのスピードリミッターが作動し、もどかしい経験をした人も多いのではないだろうか。そこで必要になるのが「リミッターカット」と呼ばれるカスタムだ。その方法や費用を調べてみよう。
リミッターカットの必用性
まずはスピードリミッターについて手短に説明したい。日本車は最高速が180㎞/h(軽自動車なら140㎞/h)に抑えられている。ただし法律で定められているワケではなく、自動車工業会の自主規制でしかない。その速度にリミッターを設定した理由は割愛するが、日本は高速道路でも120㎞/hが上限なので、街乗りにおいては何ひとつ不自由することがないはずだ。
ただしサーキットを走るとなれば話は別。高性能のスポーツカーで長いストレートを全開すれば、180㎞/hなんて意外なほどあっさり到達してしまう。そこでリミッターが作動すれば愛車のポテンシャルを発揮できないばかりか、シチュエーションによっては逆に危険となる可能性もある。
例えばリミッターを解除した車両が後ろにおり、ストレートを連なって全開している場合。後方のクルマは180㎞/hを超えても加速し続けているのに、前車のリミッターが作動すれば減速したのと同じ状態にあり、万が一追突してしまうと速度が速度だけに大クラッシュを起こす可能性が高い。なのでサーキット走行を楽しむなら、スピードリミッターカットは必須といえるだろう。
リミッターを解除する方法
では続いて解除の手段を。手軽でコストも抑えられるのはチューニングパーツのメーカーや、プロショップが販売している専用アイテムを使う方法だ。
代表的な商品としてはHKSの「スピード・リミット・ディフェンサー」や、ブリッツの「スピードジャンパー」が挙げられる。いずれも車速信号に細工してリミッターを作動させない仕組みで、パーツ代が1〜5万円(工賃を除く)と意外にリーズナブルなのも魅力。
ただし、基本的にはメーカーや車種ごとの専用ハーネスが必要で、なかには設定がない車種もあるので購入前にしっかりチェックしておこう。
もうひとつのリミッターを解除する方法は、ECU(コンピュータ)の書き換えだ。正確にいうと“解除”ではなく、スピードリミッターが作動する速度を引き上げる。前者に対するアドバンテージはスピードリミッターだけでなく、燃調や点火時期といったデータも同時に書き換えられること、さらにチューニングが進んだときの仕様変更も容易なこと。費用は車種によって幅が大きいけど、多くは5〜20万円と考えていいだろう。
どちらもデビューしたばかりで解析が進んでいない新型車だったり、純正ECUのプロテクトや制御が複雑で解除できないクルマもある。ただしスポーツ系の車種なら各メーカーが精力的に開発を行なうため、時間が経てばいずれかの方法でスピードリミッターを解除できると思って良い。サーキット走行を満喫するために、スピードリミッターカットは非常に有効な手段なのだ。