90年代のラリー車の足元は力強く魅力的なホイールだった
時代、時代でさまざまなクルマが流行り、さまざまなパーツが流行ってきました。そして、その流行りの源流となっているのがモータースポーツであることも数多くあります。今、ふたたび脚光を浴びているモータースポーツがWRCをはじめとしたラリーですが、1990年代のラリーカーもかなりかっこよかった! そこで今回はかつて一世を風靡したラリーカーに採用されていたホイールに注目、現代のクルマに使える普遍的なデザインを紹介していきます。
スピード感溢れる華麗なホイール
80年代後半からWRCで活躍したマシンと言えばなんといってもランチア・デルタHFインテグラーレでしょう。そのインテグラーレは、初期にはスピードラインの「モンテカルロ」を使用していました。
フィンタイプかと思わせるほどの、多数のスポークで構成されるデザインで、最大の特徴はリムと同心円のリング状の補強が行われていることです。このタイプのデザインは現代でも見かけることがあり、今の車にそのまま装着してもまったく違和感がないでしょう。
WRC最前線活躍のスバル・インプレッサは95年から3年連続マニュファクチャラーズタイトルを獲得します。その歴史的偉業を支えていた足元もスピードライン。スポーク数が増えていく時代変遷もありますが、なにより衝撃的だったのがゴールドカラーでした。
「再び帰ってくるぜ」の力強さがラリー系
セリカGT-FOUR、パルサーGTi-Rなどをはじめ数多くのモデルに採用されたホイールがOZラリーレーシングです。なんと言っても有名なのはホワイトにペイントされたものでしょう。非常に大きなディスクを持つタイプですが、完全にディスクで覆われるのではなくリム近くは短いスポークで連結されているところが特徴的です。
舗装されたサーキットで行うレースと違い、ラリーではヘビーデューティな走行が多くなるため、強固なホイールが必要になります。レースではブレーキの冷却性重視で開口部が広くなることもありますが、ラリーでは異物混入を避けたり、ホイールの変形を防止したりすることも大切で、このようなデザインが採用されたわけです。ちなみに、WRCのなかでもより過酷なサファリラリーなどの場合は、ホイールの肉厚を厚くするなどのことが行われていたという話もあります。
そして忘れてはならないのが日本が誇るホイールメーカー、エンケイのターマックシリーズでしょう。エンケイは古くからサファリラリー大活躍の日産車の強靭な足周りを支えていましたが、1991年日本人初のWRC勝者、篠塚建次郎を産んだギャランVR-4にも採用されてます。
そしてランサーエボリューション。ヴィッツ、そしてGRヤリスとさまざまなマシンで使われていきました。
ターマックシリーズと一言で言ってもスポークというよりも太いアームを5本配したようなタイプや、細いスポークを10本配したタイプ、ディスク形状に近いデザインのものなどが存在します。さらには軽量化のために追加ホールを設けているものもあります。