サーキットでこそ本領を発揮するパーツ
チューニングでもドレスアップでも定番中の定番で、今も昔も変わらぬ人気を誇る後付けのエアロパーツ。しかし日本の道路における制限速度は100km/hが上限だ。その範囲内でもエアロの効果は体感できるのだろうか?
時代によってデザイン面の流行り廃りはあれど、カスタムの王道といえるのがエアロパーツ。特にスポーツカーで人気を博す製品はモータースポーツ、特にレーシングカーが発祥であるケースがほとんどだ。つまりドレスアップ的な要素はほぼ考慮せず、純粋に性能を向上させることが目的といえる。しかし走るステージが変われば、パーツの効能にも差が出てしまう。
果たしてサーキットで大きな効果があると謳うエアロは、一般公道における制限速度の範囲でも有用なのだろうか。
GTウイング
レース生まれのエアロとして、真っ先に思い浮かぶのはGTウイング。面積の大きな翼面でダウンフォースを稼いで、タイヤを地面に押し付けトラクション性能を高める。
理屈は分かるしサーキットの高速コーナーで安定感が増したり、ローパワーの車両ならストレートの加速や最高速が伸びないなど、プラスにせよマイナスにせよ効果は感じやすいはず。ただし100km/hまでの範囲では危険運転と判断されかねない急加速をしたり、タイヤがよほどプアじゃない限り正直いって分かりにくいだろう。
カナード
フロントに装着するカナードも同様のことがいえる。レーシングカーやナンバーなしのタイムアタック仕様であれば、フロントバンパーから大きくはみ出すサイズのカナードも当たり前。
それならGTウイングと一緒でダウンフォースも大きくなり、フロントタイヤを地面に力強く押し付け、ターンインやブレーキングが楽になるはずだ。ところが一般道であれば最高速度が制限されるだけじゃなく、カナード自体の面積や形状も保安基準に合わせざるを得なくなる。
アンダーパネル
もうひとつはアンダーパネルやディフューザーに代表される、ボディの下面をフラットにして整流させる大柄なエアロパーツ。街乗りは速度の他にサーキットと異なる最低地上高が9cmという制限もあり、いくらフラットにしても効果がゼロというのは言葉が過ぎるものの、ドライバーがどれだけ効果を体感できるかは疑問だ。
もっとも複数のパーツをバランスよく組み合わせたり、路面コンディションや気候によってハッキリ体感できる可能性は大いにあるし、愛車を理想のスタイルに仕上げることもカスタマイズの立派な目的。上記のパーツはサーキットを走らなければ無意味なワケではなく、本領を発揮する場所がサーキットであると覚えておこう。
ちなみに冷却/静粛性/燃費といった部分では、一般道でも違いが明確に分かるエアロが多くある。エンジンルームの熱を抜くボンネットのダクトは街乗りや渋滞で水温や油温が明確に下がり、窓のバイザーは静粛性や雨などの付着軽減に役立つし、アンダーカバーを含む純正のエアロはトータルでの空気抵抗を軽減し、燃費を始め走行性能に与える影響は決して無視できない。