高齢者や妊婦さん向けのさまざまなサービスが登場
コロナ禍の中、人が密集・密接する電車なやバスどの交通機関の利用を避けてタクシーを利用するユーザーも増えている。そんなタクシー業界は近年、福祉の面でもさまざまなサービスが誕生。利用者を支援するタクシー業界の取り組みについて、代表的なものをいくつか見ていきたい。
高齢者を幅広く支援する【サポートタクシー】
例えば日本交通が実施している「サポートタクシー」がそのひとつ。高齢者や身体が不自由なユーザーをサポートしてくれるタクシーで、乗務員は介護の有資格者・経験があり(介護職員初任者研修、普通救命技能認定[AED]などのスキルを備えている)安心して付き添いをお願いできるタクシーだ。
高齢者や身体が不自由な人でも、買い物や通院、さらに墓参りなどへ気兼ねなく出かけられるようになるのがこのタクシーサービスの魅力。役所や銀行などへ手続きに向かうのも、このサービスを利用すれば安心感は高い。さらには観光の付き添いにも対応し、これまで一人ではためらっていた高齢の方も積極的にお出かけを楽しめるようになるかもしれない。
万全の体制で病院に直行【陣痛タクシー】
さらにkmタクシー(国際自動車)には「マタニティ・マイタクシー(陣痛タクシー)」と呼ばれるサービスがある。これはその名のとおり妊娠中や出産の入退院などの際に、タクシー利用を想定したサービスだ。事前に入会・登録(無料)をしておけば利用できる。サービスのネーミングにもなっているとおり、陣痛時の専用ダイヤルもあり、24時間・365日対応で急な陣痛にも即対応してくれるのはなによりも安心だ。
乗務員は陣痛時の送迎講習を受けており、万が一のケースにも対応可能な体制が整う。出産予定の病院などをあらかじめ登録しておけば、急な陣痛時に送迎をお願いした場合でも登録した病院へスムースに向かってくれるので、いざというときも心強い。また乳児検診など出産後の外出に関しても継続的に利用できるというのも嬉しいサービスだ。
病院や保育園のお迎えも可【子育てタクシー】
日の丸タクシーの「子育てタクシー」も、出産を控えた女性が利用しやすいサービスだ。こちらも事前に登録しておくことで、陣痛時には迅速にタクシーを呼べるというもの。乗務員はタクシー協会主催の子育てドライバー養成講座および保育実習、チャイルドシート設置講習を修了した専門のドライバーなので、急な陣痛でも不安なく利用することができるだろう。
また、病院からの退院時や子供の検診などで利用する際にも乗務員のサポートが得られ、子供の保育園や塾への送迎にも利用できるというのがこのサービスの特徴。該当の施設まで乗務員が子供を迎えに行き、タクシーまで誘導してもらうことも可能だ。
高齢者向けの優遇サービスも充実
ここまで紹介したサービスとは少し形態が異なるが、例えばタクシー定期券も福祉サービスのひとつ。特定の区間を何度も乗車する利用者向けのお得な「定期券」、高齢者が通院や買い物のためにタクシーを頻繁に利用する場合の「高齢者フリーパス券」(あらかじめ決まった運賃の範囲でどこでも何回でも利用できる乗車券)が用意される場合もある。
そのほか大型犬などのペットといっしょに乗って出かけることができる「ペットタクシー」を設定しているタクシー会社もある。ニーズに合わせたきめ細かなサービスを備えたタクシーが次々と誕生しているので、これまでは諦めていた利用方法にフィットするタクシーがあるかも知れない。移動手段で諦める前に一度チェックしてみると良いだろう。