ベーパーロックの予防方法【操作編】
それでは予防する手段としてはどんな方法があるのか。ドライバーの操作で予防する方法は、エンジンブレーキを併用することだ。
フットブレーキと違ってフルードの温度には影響せず、マニュアル車ならアクセルを緩めれば自然と減速するのがエンジンブレーキ。オートマチック車は自動で高いギヤに変わることがあり、一般的にエンジンブレーキが効きにくいと言われるが、通常の「D」レンジから1段、場合によっては2段ギヤを落としたり、CVT車であれば減速比が高くなる「スポーツ」や「S」などと書かれたモードにすることで、エンジンブレーキを積極的に使うことが可能となる。
高速道路の長い下りはスピードが高くなりがちで、必然的に事故のダメージも大きくなってしまう。なのでエンジンブレーキをメインにしつつ、必要に応じてフットブレーキを使うのが望ましい。
ベーパーロックの予防方法【車両編】
車両側でやるべき対策はブレーキフルードの交換だ。長期に渡って使用したフルードは空気中の湿気を多く含み、その量が増えれば増えるほど沸点が低くなっていく。つまり劣化したブレーキフルードほど、ベーパーロックを起こしやすい状態といえるのだ。
なおブレーキフルードにはさまざまな規格があり、沸点の高いスポーツ走行に向けた製品も存在する日本で耳にする機会が多いのは「DOT」と呼ばれるアメリカの規格で、純正で採用されているのは大半がDOT3でドライ沸点は205℃以上。ひとつ上のDOT4は230℃以上となり、もっとハイグレードとなるDOT5.1は260℃以上と差は55℃以上だ。
サーキットでDOT4以上を使うのは昔からのセオリーだが、ベーパーロックの可能性がゼロになるわけではない。走り方や車重などによってブレーキの負担は異なり、フルードの温度の上がり方も当然ながらバラバラだ。ペダルタッチが頼りないと感じたらエンジンブレーキだけで周回できるぐらいまでペースダウンしてブレーキをクールダウンさせ、そのまま何周か走っても回復しなければピットに戻って休憩する。