マシンは「買う」より「借りる」が正解
車いすレーシングドライバーである青木拓磨率いるTakuma-GPが開催する「レッツ レン耐(Let’sレンタバイク耐久レース)」が今年で17年目のシーズンを迎えている。レッツ レン耐とは、レース用のマシンはもちろん、ライダー装備まで一式借りることができ、さらにチームメイトも借りる(?)ことができるという、敷居の非常に低いミニバイクの耐久レースである。
レースに出るために自分でバイクを用意するとなると車両の購入費はもちろん、参戦費用、ガソリンやタイヤといった消耗品も必要。またヘルメットからレーシングスーツにブーツ、グローブといった装備も必要になってくる。少なくないコストがかかってしまう。バイク本体も、市販のものを買ってきてそのままというわけにはいかない。少しでも上位を目指すためにパーツを購入するとさらに費用が上乗せされる。
イコールコンディションでスキルアップ
ところがレッツ レン耐では、その大半の費用が一気に圧縮できるのが最大のメリットだ。本レースは参戦車両すべてがレンタルマシンなので、車両の性能は事実上イコールコンディションとなる。個体差はあるものの、純粋に自分のライディングスキルで勝負ができるということだ。
また、その車両がミニバイクというリスクの少ないことも重要だ。ミニバイクは平均スピードが低いので、比較的安全にレースを楽しむことができるのである。
そんなわけで『レッツ レン耐』は毎戦多くの参加者が集まるイベントである。なんと、年間38戦という驚異的な開催数を誇っているのも人気の高さゆえだ。ちなみに開催サーキットは、関東と九州を中心に各地のミニサーキットがメインである。
広がりつつあるレンタルバイクレース
そんなレッツ レン耐の盛り上がりもあって、同様のレンタルのマシンを使ったミニバイクレースが他にも登場している。
ひとつは、スズキのアジア専売モデルFU150というアンダーボーンフレームのバイクを使用したレンタルバイクの『RB150シリーズ』。レーシングライダー加賀山就臣選手が立ち上げ、現在は全日本ロードレースチームのアドバイザーや、テストライダーとして活躍している武田雄一選手が引き継ぐ形で、埼玉県さいたま市のサーキット秋ヶ瀬でのみ開催する、今年で5年目となるシリーズだ。
これまではFU150のみで開催となっていたが、今シーズンからはホンダのCBR150も加わった2車種でのシリーズとなる。こちらはシリーズ戦となるので、年間タイトルも決定する(レッツ レン耐は単独戦)。 2020-2021年シーズンは年間5戦のスプリントレースと、「借り耐」という耐久レース3戦の開催という。個人での参戦となるスプリントレースは、ビギナーとエキスパートという2クラスで分けられる。「借り耐」は2名以上なら何人でもライダー登録が可能で、仲間と一緒にレースを楽しむことができる。ちなみにRBとはレンタルバイクの略である。
そしてもうひとつが、昨年からシリーズが立ち上がった『MTLカップ』というもので、スズキのGSX-R150(国内未発売モデル)のワンメイクレースシリーズとなる。こちらは静岡県の富士宮白糸スピードランドで全5戦が予定されている。