カウンタック 5000QVを細部に至るまで徹底チューニング
神奈川県横浜市にある、スペシャルショップ「アウトモビーリ ヴェローチェ」の岡戸栄一代表は、ランボルギーニ カウンタック LP500S ウルフ・スペシャル #1を所有している他に、カウンタックをもう一台愛用している。1988年式の5000QVをベースとし、細部に至るまで徹底チューニングしたそれは、
ただでさえ速いのに、カウンタック 5000QVをここまでしてしまったのか……。筆者が衝撃のチューニング・カウンタックを初めて見たときの感想は、そんな感じのものだった。
根っからのクルマ好きがスーパーカーに惚れ込むまで
このクルマを製作したアウトモビーリ ヴェローチェの岡戸代表は、白いフォード・カプリに乗って成人式に行ったというほどの根っからのクルマ好きだ。
日産S30型フェアレディZ、日産レパード、マツダSA22C型サバンナRX-7、ダイハツ・ミラターボTR-XX、ホンダ・ワンダーシビック。そして、トヨタ・ソアラ、マークII、クレスタといったハイソカーなどに乗ったという岡戸さんは、その後、ポルシェ 928S2、928S4あたりから愛車のスーパーカー濃度を高めていった。
ワンオフモデル「イオタ」を目指してモディファイを実行
20年近く前にカウンタック LP500S ウルフ・スペシャル #1を買い、18年ぐらい前に縁あってカウンタック 5000QVを購入。だが、ディアブロには“イオタ“の名が存在するが、カウンタックにはイオタ仕様が存在しないので、愛機として迎え入れた5000QVをベースとし、「J=イオタ(1970年に登場したワンオフモデル)」を目指してのモディファイを実行したのだという。
イオタとはクルマ好きの方はご存知の方も多いように、かつてアウトモビリ・ランボルギーニ S.p.Aのメカニック/テストドライバーとして活躍していたボブ・ウォレス氏が、FIA付則J項のツーリングカー/GTカー・カテゴリーに参戦するべくミウラをレース仕様にモディファイし、テスト走行を行っていた車両が「J=イオタ」と呼ばれている。(画像はクローンモデル)
ボブ・ウォレス氏がランボルギーニを退社してしまったこともあり、カウンタックのイオタは存在せず、また、アウトモビリ・ランボルギーニ S.p.Aのファクトリー・チームがカウンタックを擁してレースに参戦することもなかった。
全日本GT選手権にエントリーしていたマシンを参考に仕上げた
カウンタックといえば、25thアニバーサリーをベースとしたレインXカラーのレーシングカーが1994年に全日本GT選手権にエントリー。全5戦に参戦し、2回の完走を果たしたことで知られている。岡戸さんは、このレーシング・カウンタックの製作を担当した寺井エンジニアリングに愛車を持ち込み、全日本GT選手権を走ったクルマのようなモディファイをアウトモビーリ ヴェローチェと寺井エンジニアリングとの共同作業で行った。
フロントセクションにレーシング・カウンタックと同じ型で抜いた外板パーツを装着しているため、ヘッドライトが固定式になっている。まさにこれがイオタっぽさを演出しているといってもいいポイントだろう。
ディアブロ・イオタをイメージしたエンジンフードにも注目
エクステリアに関しては、フロントセクションだけでなく、リヤウイング、エンジンフード、ドアミラーなどもスペシャルだ。V型12気筒エンジンの排気量は5.2Lのままだが、サーキットを走ると油温が上がるのでオイルクーラーを追加している。吸気はディアブロ・イオタをイメージし、上からフレッシュエアを吸う仕様だ。さらにレーシングエアジャッキまで装備している。
その勇姿は走るたびに見る者を魅了する
岡戸さんはカウンタック『イオタ』のサスペンションも強化し、全体的にパフォーマンスアップすることでサーキット走行やヒルクライムを楽しめるようにしており、その豪快な走りと官能的な排気音で、走るたびにギャラリーを魅了している(驚かせている、ともいう)。とにかくビックリするほど速く、排気音が素晴らしいので、ヒルクライムの主催者から誘われるケースもあるそうだ。
岡戸さんは愛車にイオタ・ステッカーを貼っていることに関して「自分でそう思っているから」だと謙遜していたが、マジメな岡戸さんが本当に構築してしまった超レーシーなカウンタックのディテールとサーキット走行やヒルクライムでの実際の走りっぷりを拝見すると誰もが「これはイオタだ!」と納得するので、どこかのイベント会場でカウンタック『イオタ』と遭遇したら、岡戸さんの腕のよさも含め、いろいろ堪能させてもらうといいだろう。
岡戸さんが主宰するアウトモビーリ ヴェローチェでは、ランボルギーニ カウンタック LP500S ウルフ・スペシャル #1でオリジナルに忠実なレストアを実践できることをアピールし、カウンタック『イオタ』で徹底モディファイできることをアピールしている。そろそろ愛車をリフレッシュしようかなと思っているスーパーカーオーナーは気軽に相談してみるといいだろう。