次なるライディング補助などの開発も検討
今回新たに、右足切断の障がいを持つ参加者も参加となった。船木勝美さんはバイク乗車中、Uターン待ちをしているところを後続車に追突される形で右足の太腿から下を切断してしまっており、義足での生活となっている。拓磨選手の鈴鹿8耐でのデモランを見て触発され、このコロナ禍でネットを見てさらにSSPを知り、個人サポーターとして加わってきた。そして昨年末のパラモトライダー体験走行会の会場に実際に足を運び、今回の参加を決めた。
SSPでは、ハンドシステムなど下半身不随の障がい者でも乗車が可能となる補助システムを搭載したバイクを製作している。制御の利かない下半身の場合は、両腿をシートベルトで支え制御、そしてまたライディングブーツとバイクのステップをビンディングで接合。そして、停車時・走行開始時に自立しないバイクは、数多くのボランティアスタッフが支えることでライディングを可能にし、このパラモトライダー体験走行会を開催してきている。これまでは部位の違いや程度の違いはあったものの脊髄損傷によってほぼ半身不随という参加者であった。
今回の船木さんのケースは初めてのことで、本人との調整を行ったうえで、それに合わせパーツの付け替えを行うなどしてこれに対応し、無事にコース走行を楽しむことができた。
走行後、船木さんは「宣篤選手に先導してもらい、一緒に走っていた拓磨選手に途中抜かれましたが、青木兄弟の二人の走りをコース上で観ながら走るっていう夢の時間が持てました。今日は天気も良くてほんとに気持ちいい気候の中で楽しい走行ができました」とコメントしてくれた。
障がいを負って、バイクで走ることを諦めてしまった元ライダーたちに、再び走る喜びを取り戻してもらおうとするこの活動。走行会会場には加齢で体幹が弱まってきており、さらに手指切断でグリップが握れないという見学者もいらっしゃった。障がいへの対応は個人個人さまざまだけに、今後どうやって応援対応をしてゆこうかも含め、宿題は山積だ。ただ、今回はバイカーズ議連の視察もあり、この活動への理解や協力の要請も行なえたこととなり、大きな進歩のひとつになるに違いない。