日産2台ペースで生産された採算度外視と言える作り込み
サスペンションはKYB製で、スプリングレートは若干アップ。ガチガチに締め上げられていないことがポイントだ。タイヤはブリヂストンのRE-71Rを装着しているが、なんとこのタイヤ、86GRMNで開発が進められていたとのこと。開発スケジュール上、タイヤが先に発売されてしまったという。 エンジンは吸排気の変更や内部パーツを低フリクション化。クロスレシオ化した6速MTと4.3ファイナルを組み合わせている。 生産はトヨタの元町工場で行われる(編集部注:取材当時)スバルからホワイトボディを、エンジンはTRD、その他GRMN専用部品を同工場に納入し、幻の名車LFAを作った職人が丹誠込めて造り上げた。日産2台ペースだったというが、その手間暇を考えれば、納得が行く。
ガチガチなではなくしなやかな乗り味が意外
クローズドコースで短い時間だが試乗することができた。ストレートを全開にすると、4000romくらいから明確にサウンド、パワー共に盛り上がり、レッドゾーンまで吹き上がっていく。シフトフィールはノーマルよりよく気持ちがいい。ブレーキングで1速まで落として左にターンインし、スラローム。右へ左へ素直にノーズが向きを変え、ノーマルより「地を這う」感覚が増している。見た目のレーシーなルックスとは裏腹に、乗り味はとても「しなやか」。それが86GRMN最大の特徴といえるだろう。ショップレベルのデモカーにありがちな荒っぽさはなく、まるで機械式時計のような、精緻に作り込まれた「精密機械」の良さを感じた。