クルマの性能と共に成熟していく「ワンメイクレース」
80年代もなおB110は生き延び、プロダクションカーレースは盛んだったと記憶する。ただやがてB110の程度の良いレース車両がなくなってくると、プロダクションカーレースも次第に衰退していった。
それを受けて開催されるようになるのが、いわゆるワンメイクレースだ。80年代も後半に入るとバブル経済期に入っていき、各自動車メーカーがコンパクトカーでもより高い性能を競うようになっていく。
たとえば鈴鹿サーキットでは2代目ホンダシビックによるワンメイクレースが開催され、これにはプロのレーサーも招くなどして注目を集めた。 その後スターレットやFFになったファミリアなども入門用のワンメイクレースとして開催され、90年代に入るとロードスターやRX-7のワンメイクレースも行われるようになった。
近年では輸入車の愛好者も増え、それらはあまりにも高性能であるため公道でそれを満喫するのが難しい。そこでサーキット走行会とともに、ワンメイクによるレースも開催されている。クルマを楽しむという上で、ワンメイクは価値ある参加型レースといえる。いっぽう競技の面白さにはメーカーの違いによる「勝ち負け」の側面もある。それによって参加型モータースポーツでも、観て楽しむ面白さが生まれる。
ジムカーナやラリーはいくつかの車種が同じクラスで競うため、運転の腕を争うだけでない点で興味も沸きやすい。もちろん優れた成績を出しやすい車種というのはあるだろうが、あえて別の車種で挑むのも、参加の醍醐味だろう。 かつてB110サニークーペでほぼ一色だった時代、あえてスターレットやシビックで挑戦した人たちがいて、それらは語り草にもなった。