博物館級の名車が4台も展示!
4月9日(金)から11日(日)までの3日、千葉県・幕張メッセで「オートモビルカウンシル2021」が開催されている。同イベントは日本の自動車文化を継承していくために2016年から行われている。毎年、主催者の展示テーマが発表されているが、今回は「時代を進めたラリーカーの戦闘美」としてイタリアの往年の名ラリーカーたちが展示されている。早速紹介をしていこう。
ランチア・フルヴィア・クーペ 1.6HF
1966年に登場したフルヴィア・クーペHFは、狭角V型4気筒エンジンをフロントに縦置きしたFWD駆動車。1966年のモデルは1.2リッターだったが、翌年の1967年には1.3Lエンジンに拡大し、同年のツール・ド・コルスなどで優勝を遂げている。
そして1969年後半には、さらに排気量をスープアップし、1.6Lエンジンを搭載。1972年には、サンドロ・ムナーリがモンテカルロラリーで初優勝。翌年はよく知られているかの「ストラトス」へバトンを渡してゆくが、フルヴィアこそ、「ラリーのランチア」のイメージを定着させた1台だ。
今回展示されたマシンは、ランチアのレース部門「HFスクアドラ・コルセ」が実戦に用いたワークス・ラリーカーそのもの。18台製造されたうち最後の1台で、なんとのちに日産のサファリ偉業を成し遂げるレジェンド・ラリードライバー、シェカー・メッタ/マイク・ダウティ組が1974年にイースト・アフリカン・サファリラリーに出場し11位でフィニッシュした経歴を持っている実車である。
ランチア・ストラトス HF Gr.4
ランチア・ストラトスを一言で表すなら、ラリーで勝つために産まれた「パーパスビルドカー」に尽きる。ちょうど日本では、スーパーカーブームが巻き起こり、ランボルギーニ・カウンタックやミウラに継ぐ人気車種だった。WRC(世界ラリー選手権)は、1973年からスタートしていたが、ストラトスは1974年10月のサンレモラリーから参戦しデビューウィンを飾っている。さらに、74、75、76年のWRCマニュファクチュアラー・タイトルをランチアにもたらしている。
全長は3.7mとコンパクトながら、全幅は1.7mという特殊なディメンションを採用。ボディデザインを担当したのはベルトーネ時代のガンディーニで、成層圏に向かう宇宙船のような大胆なウェッジシェイプスタイルが印象的だ。ホイールベースは2180mmと軽自動車のホンダ・ビートよりも短く(2280mm)、ラリーのような峠の多いコースにはうってつけのコーナリングマシンに仕上がった。エンジンはディーノ246GTのV型6気筒をジャン・パオロ・ダラーラが設計したモノコックフレームに搭載していた。
展示されている個体は、2012年のランチア・ランチ開催2日前に日本に上陸している。当時からロスマンズカラーを纏っており、1981年のスペイン・ラリー選手権、翌82年はスペイン・ツーリングカー選手権に出場し、いずれもシリーズチャンピオンを獲得している。エンジンはクラウディオ・マリオーリがチューンした2バルブのビッグバルブ仕様が搭載されている。