メーカー折り紙付きのアバルト専用チューニングキットだった
環境や燃費にシビアな昨今、市販車では過激なモデルというのは減る一方。とくに小排気量となると制約もあることからなおさらで、数えるほどしか存在しない。最近の日本車であればトヨタのGRヤリスが代表格だが、イタリア車となるとまず思い浮かぶのがアバルト。乗り味はまさにジャジャ馬なのだが、ベースは実用車であるチンクエチェントというのもまたワクワクさせられる点だ。
そのアバルトには通常モデルをバージョンアップさせる「エッセエッセキット」なるものが用意されている。このキット、登場から既に長い年月が経っていて、その仕様は時代と共に変わっている。今回は気になるその中身を紹介していく。
アバルトの走りを別次元に誘う「魔法」が凝縮
実用車をチューニングして過激なモデルに仕立てるという手法は、アバルトが独立した会社として活動していた1960年代をモチーフにしているのはクルマ好きならご存じだろう。アバルトの場合、競技向けをメインとしたチューニング済みのコンプリートカーやプロトタイプだけでなく、パーツ単体でも販売していて、FIAT500などの一部車種向けにはキャブレターやマフラー、ハイカムなどが一式となったキットも用意されていた。
このバージョンアップキットは今に蘇っていて、各種のキットがアバルト上陸時から用意されている。その筆頭格が「エッセエッセキット」と呼ばれるもので、エッセとはESSEと書き、アルファベットのSのこと。 つまりSSとなり「スーパースポーツ」といった意味が込められている。具体的にはノーマルのアバルト595があって、エッセエッセはその高性能版という位置付けだった。 現代のキットで話題になったのが、その名もエッセエッセキットKONIで、登場時はアバルト500と呼ばれていた標準モデルは135psだったものが、キットを装着すると160psにアップした。 キットの内容は大きくふたつに分かれていて、高性能スプリングとコニ製ショック、ホイール、前後ドリルドプレーキディスク、BMC製ハイパフォーマンスエアクリーナーなどのパーツ類。そしてもうひとつがABARTH POTENZAキットで、こちらはコンピュータのデータを書き換えるものだった。