「RZハイパフォーマンス1stエディション」を購入!
「WRCを含むラリーをはじめとしたモータースポーツに使った際に有利となる要素を、工場出荷状態から盛り込んだスポーツカー」というコンセプトで開発され、2020年1月に開催された東京オートサロンでは、市販バージョンの公開に合わせてファーストエディションの予約を開始。2020年9月、ようやく発売に至ったトヨタGRヤリスの登場から半年が経った。
筆者は冒頭のコンセプトに魅力を感じたのに加えて、当時40歳の節目を迎えたというメモリアルもあり、トヨタの主張通り「頑張れば買える価格」でもあったGRヤリスを予約開始当日にリザーブ。2020年10月上旬の納車から、約半年で7000km共に過ごした。ここでは自分のものにしたからこそわかったGRヤリスの評価を部分ごとに挙げていく。
グランドツアラーとしての実力も兼ね備える
まず筆者のGRヤリスは1.6L 3気筒ターボ+4WDというパワートレインを搭載する最上級の「RZハイパフォーマンスファーストエディション」に、日本車トップクラスの自動ブレーキや先行車追従型のアダプティブクルーズコントロールといった安全装備がテンコ盛りとなる予防安全パッケージ、シートヒーター&ステアリングヒーター、寒冷地仕様というメーカーオプションを加え、ボディカラーはパールホワイトを選んだ。
街乗りでの印象はクラッチこそやや重いが、それも動力性能を考えれば順当なところ。エンジンも1500rpm回っていれば十分なトルクがあるので、ボディ後方のガラス面積が小さいため後方視界が良くない以外、扱いにくさはまったくない。ただ厳しくなる一方の法規に対応しているためか、マフラーが非常に静かな点や着座位置がスポーツモデルとしては高すぎることが原因なのか、ごく普通に街乗りしている際の楽しさやワクワク感は“それほどでもない”というが率直なところだ。
乗り心地は標準のRZに対し、硬い方向のスペックとなるRZハイパフォーマンスだと、高速道路のジョイントのような小さめの凹凸であれば問題ないが、中程度以上の凹凸になると体に堪える硬さを感じるので、まずダンパーに手を加えたいところだ。
高速道路ではロードノイズは大きいが、それ以外はとくに騒音が大きいこともなく快適なのに加え、走行安定性の高さにより実際の車速より体感速度が低いことでスピード違反が心配になるくらいだ。また筆者のGRヤリスはアダプティブクルーズコントロール付きなことや動力性能の高さなどにより、長距離ドライブでも疲労は少なく、全天候型のGTカーとしての資質も高い。
気になる3気筒エンジンだが予想以上の実力に大満足!
1.6L 3気筒ターボのエンジンフィールは、2500rpm以下では扱いやすく静かだが、そこを超えると6気筒エンジンのような重厚なサウンドを奏でながら戦闘態勢に入り、4000rpmから7000rpmのレッドゾーンに掛けては炸裂という言葉しか見つからないほどパワフルで大満足している。
ワインディングロードではボディ剛性の高さなどによるハンドル操作に対しクルマが正確に反応してくれる点や、全長4m以下というクルマの小ささと1280kgという軽さによりクルマが実にキビキビと動いてくれることが素晴らしい。
気になるスポーツ走行はどうか。これについてはスタッドレスタイヤを履かせてクローズドされた氷上コースを走ってみたが、クルマを曲げるためのコツを覚えてしまうとノーズさえ入れば4WDということもあり、ドリフト走行もガンガン可能という高いコントロール性を備えている。とにかく楽しかったこともあり、その日は休憩をほとんどとらず走りまくっていた。
また前後駆動力配分がFF的で扱いやすい【ノーマル】、FR的な【スポーツ】、50:50となるタイム重視の【トラック】があり、3つのモードを持つ4WDシステムの性格が明確なことに加え、VSCをエキスパートモードにするとブレーキ介入が必要最低限となり、言葉にすると「楽で速い」という点も印象的だった。
なお燃費はアイドリングストップを使わずに(GRヤリスの1.6L 3気筒ターボ+4WDはリヤバッテリーのため12Vバッテリー代が高そうなだけに、この点は大きな不満だ)市街地9km/L台、郊外の道で11〜12km/L、高速道路14〜15km/Lと「良くもないけど、性能を考えれば納得できる」といったところだ。