80台が集まるVWオーナーのオフ会が発端
毎年5月中旬、緑溢れる季節になると南オーストリアにあるヴェルター湖周辺はVW&アウディのカスタムカーに占拠される。「ヴェルターゼー」もしくは「ヴェルターゼーツアー」と呼ばれるイベントは、いまや町ぐるみ、メーカーぐるみでクルマ好きを応援する催しとなっている。しかし発祥はVW好きが集まるただのオーナーズミーティングだったのだ。
一つの町が全面的に応援するイベントに
ヨーロッパではバカンスシーズン直前。だいたい5月中旬くらいに開催される「GTI Treffen」は今年で40年目を迎える、フォルクスワーゲン(以下VW)を愛するユーザーのイベントだ。VWグループ、つまりアウディやスペインのセアト、チェコのシュコダなどのオーナーもヨーロッパ全土からこの地を目指してくる。ピーク時では20万人を余裕で超えるほどが集結していた。「GTI Treffen」というのは正式名称であり「ヴェルターゼー」とか「ヴェルターゼーツアー」と呼ばれることが多い。ゼーとはドイツ語で湖という意味で、つまりは会場となる「ヴェルター湖」を意味する。とはいえ、湖にクルマは入れない。ほとりの一つの町「ライフニッツ」が村全体を会場として提供している。
始まりとなった40年前はただ単純に「VWを好きなオーナー同士で集まろう」という純粋なミーティングだったそうだ。当初集まったのは80台程度。当時もかなりの数だが、年を追うごとに台数がどんどん増え、ピークとなる2010年前後には、オーストリアやドイツだけでなく、スイスやイタリア、ベルギーなど、ヨーロッパ全土からVW好き、特にカスタマイズ好きが集まるようになった。あまりに大勢が集まるため、ライフニッツは期間中(5日間程度)町を封鎖。駐車パスや通行許可証がなければ中に入ることすらできなくなる。これらを購入することが参加費という考え方だ。