2013年の誕生からブラッシュアップを続ける
2007年に登場して以来、現在まで13年以上、通常ではあり得ないほど長い時間をかけて熟成を遂げてきた「日産R35GT-R」。その中で2013年に登場した「GT-R NISMO」は「最強のモデル」として基準車とは一線を画す存在だ。その進化の変遷について迫ってみたい。
そもそも「GT-R NISMO」の成り立ちとは
R35GT-R NISMOが登場したのは2014年モデル(2013年11月発表)からだ。これはR35GT-Rの商品企画責任者であるチーフ・プロダクト・スペシャリスト(CPS)が田村宏志氏になったタイミングである。
それ以前のモデルはドイツのニュルブルクリンクでのタイムアタックを含め、基準車で速さを求めていた。しかし、2014年モデルからは基準車はグランドツーリング(GT)としての性能を磨き、速さ(R)はNISMOという新しいグレードで追求するという方針に改めたのだ。
GT-R NISMOが発表されたのは2013年11月。田村氏はR35GT-RのCPS就任以前からNISMOビジネスオフィスのCPSを務めており、マーチ、ノート、ジューク、ZなどのNISMOロードカーを担当していた。その一環として2012年秋頃からすでにGT-R NISMOの開発がスタートしていたようだ。つまり、2014年モデルのために慌てて作られた新設モデルではないのである。
ボンディングボディを採用した2014年モデル
2014年モデル(1501万5000円) の大きなポイントは基準車とはボディ自体を変えたということ。具体的にはパネル継ぎ目の要所にボンド(特殊接着剤)を使って、基準車よりも剛性が高い「ボンディングボディ」とした。これは自動車メーカーにしかできないことであり、さほど増量せずに剛性を上げたというのが特筆すべき点だろう。
もちろんエンジンもNISMO専用となった。レース用車両「NISSAN GT-R NISMO GT3」用に開発した「GT3タービン」を採用し、出力を600ps/66.5kg-mとした。ちなみに基準車は550ps/64.5kg-m。さらにECM(エンジンコントロールモジュール・エンジン制御コンピュータのこと)にも手が加えられており、気筒別点火システムを取り入れることで性能向上を図っている。
前後バンパー、トランク、リヤウイング、アンダースポイラー類はすべてカーボン製としている。足まわりも専用のビルシュタイン製とした。
また、ドイツ・ニュルブルクリンクのタイムアタックで「7分8秒679」を達成した際に装着していた専用エアロパーツや2シーター化、ボディパーツ、シート、サスペンション、カーボンLSDなどをフルパッケージ化したオプション「N Attack package」を885万6000円(税別・当時)で設定。
じつは2014年モデル以降、R35GT-Rは公式にニュルアタックをしていない。
なお。1年後に発表された2015年モデルは、基準車同様にシフトノブが変更になった程度で大きな進化はない。