競争激化だからこそ主張の強い最新バンコン
キャンピングカーの中でもっとも人気が高いのがバンコンバージョン、通称「バンコン」。ミニバンやワンボックスカーなどをベースにキッチンやリビング、就寝スペースなどを施したタイプだ。
バンコンでは、とくにハイエースやキャラバンをベースとしたモデルが、広い室内や使い勝手の良さなどで多くのユーザーを獲得しているが、その分競争も激しい。各コーチビルダー(キャンピングカー製造メーカー)は、他社と差別化するために独自の仕様や機構を開発し続けており、毎年アップデートされたさまざまな新型が登場する。
幕張メッセで開催されたジャパンキャンピングカーショー2021(4月2日~4日)でも、そんなキャブコンの新作モデルが各メーカーから続々と発表されたが、ここでは、それらの中でもとくに最先端の装備や独自性が強いモデルたちを紹介しよう。
クルマの屋根が高くあがり貴重な空間をゲット【ケイワークス・オーロラ エクスクルーシブ】
ケイワークスが発表した新型「オーロラ エクスクルーシブ 5Star タイプⅠナロー」は、屋根が水平に上がる新開発「エレベーター式ポップアップルーフ」を採用したモデルだ。
ベース車両は、トヨタ・ハイエースのナロータイプ(標準ボディ)。このモデルでは、ボディサイズのうち全長4695mmと全幅1695mmはノーマルと同じで、全高のみ2100mmと115~120mmほど高くなっている。乗車定員は5名、就寝人数は4名だ。
ポップアップルーフとは、文字通り屋根が上に開く装備のことだ。近年、ワンボックスやミニバン、軽自動車ベースのキャンピングカーなど、さまざまなモデルに採用されているこの機構は、屋根を上げることで就寝スペースが拡張できるのが魅力だ。また、上に昇れば夜間に星空を眺めたり、高い位置から広大な景色が楽しめる。さらに、ルーフを閉じた状態であれば、車高がノーマル車とほぼ変わらないモデルも多く、車高制限がある駐車場にも駐車できるなど、さまざまなメリットを持つ。
従来のポップアップルーフは、屋根の前方または後方のどちらかが上に上がる方式が一般的だった。そのため、就寝する際はやや窮屈感があったのも事実だ。その点、ケイワークスが開発したエレベーター式であれば、屋根が上がる面積が広いため、上方スペースがかなり広くなる。また、屋根部分にベッドマットを置かなければ、そのまま屋根が上に高くなったことになり、1850mmという車内高が実現。室内により開放感をもたらす効果を生む。
高級感溢れる室内装備も、このモデルの魅力だ。展示車では、ベッドにもなるブラウンレザーのソファーやテーブルを置いたリビング、後方にはキッチンや冷蔵庫なども装備。これにエレベータ式ポップアップルーフを上げることで、従来のバンコンにはない余裕の空間が演出できるのだ。
ただし、課題もある。この仕様で就寝する場合は、通常のポップアップルーフと違い、別途ベッドマットを設置する必要があることだ。ベッドマットを設置すると室内高が高くならないため、エレベータ式の魅力である高い室内高が実現できない。また、外した際は車内に専用の収納スペースがないため、室内のどこかに置く必要があり、広さが制限されてしまう。
ケイワークスの担当者によると、「現状では、屋根で就寝しない場合はベッドマットは自宅に置いておく」方が現実的だという。画期的なシステムだけに、ぜひ改善策に期待したいところだ。