動くオフィスにもなるキャンピングカー
コロナ禍の影響によるテレワークの推進により、近年話題になっているのが「クルマのオフィス化」や、観光地などに行きリモートワークなどで働きながら休暇を取る「ワーケーション」だ。
とくにキャンピングカーであれば、車内レイアウント次第ではノートPCなどを置いてゆったりと作業ができるし、サブバッテリーを搭載していれば仕事中にエンジンを始動しなくても電源の確保ができる。あとは、ポケットWi-Fiなどで通信環境さえ整えば、好きな場所で、好きな時に仕事ができるのだ(もちろん職種にもよるが)。
ジャパンキャンピングカーショー2021(4月2日~4日・幕張メッセ)では、そんな新しいキャンピングカーの使い方を提案したモデルも幾つか展示されていた。最近のトレンドを取り入れた注目モデルを紹介しよう。
引き出されるテーブルから羽ばたくビジネス【ケイワークス・オフィスカー】
ケイワークスが今回提案したのは、その名もずばり「オフィスカー」だ。トヨタ・ハイエースとホンダ・N-VANをベースとした、まさに移動オフィスともいえる2台を紹介しよう。
まずはハイエース。4ナンバーの標準ボディがベースで、ボディサイズは全長4695mm×全幅1695mm×全高2100mm。ノーマルより全高は115~120mmほど高いが、長さや幅は同じだから、あまり運転に気を遣わずに、快適なドライブが楽しめる。
これだけの電気を使うと、通常は、車両に十分な電力があるのか不安になる。もちろん、エンジンを始動すればバッテリーに充電されるのだが、作業中に何時間もアイドリングをするのは排ガスの問題もあるため難しい。
これらにより、きわめて快適な作業や車中泊を可能とする、安定した電力の供給を実現しているのだ。なお、車体価格は、展示車の仕様で775万5000円(税込)だ。
一方、軽ワンボックスカーのN-VAN。展示車のベースグレードはGホンダセンシングで、ボディサイズは全長3395mm×全幅1475mm×全高1945mmだから、こちらはノーマルとまったく同じボディサイズだ。
軽自動車ベースのため、こちらはハイエースほどの車内スペースがないが、1人で気ままに出かけて、出先でワーケーションを楽しむといった用途であれば、十分に使える装備となっている。なお、車体価格は、展示車の仕様で327万8000円(税込)だ。
アレンジ切り替えで気分すっきり【三島ダイハツ・クオッカ】
三島ダイハツが展示した新型の軽キャンパー「クオッカ」は、車内レイアウトをアレンジできる「トランスフォーメーションボックス」の採用により、オフィス仕様にもできるのが特徴だ。
オーストラリアに生息し、「世界一幸せな動物」といわれるクオッカが名称の由来というこのモデルには、室内の壁や天井、棚などに静岡県産「富士ひのき」を使用。まるで丸太小屋のような、無垢の木のぬくもりや風合いを味わうことができる空間を演出している。
まず、1個のボックスに脱着式の足を取り付けて車内中央のテーブル(サイズ1100mm×450mm)にし、ほかのボックスを室内左右に配置して椅子にすれば、ダイネットスタイルが完成。
室内には、ほかにもLED照明や電源ソケットなどが装備されているほか、100Aのサブバッテリーも搭載。価格(税込)は、展示車の仕様で448万9540円だ。
ワークスペースをカンタンに組み立て可能【トイファクトリー・HACO×HACO】
トイファクトリーが新しく提案するモビリティユニット「HACO×HACO」も、クルマをオフィス化してワーケーション仕様にすることが可能だ。
会場に展示されていたトヨタ・ハイエースの場合では、車体後方から見て荷室左側にLの字型の作業テーブルを設置。また、右側は椅子としても使える収納ボックスを置き、ワーケーションなどが楽しめる快適空間を演出している。
ベースボードの取り付けには若干の加工が必要なため、販売店での車両持ち込み作業が必要だが、これさえ装着してしまえば、後は自分でも作業ができる。
特に、ベースユニットは、ドライバーなどの工具があれば簡単に組み立てられるし、荷室への取り付けは工具さえ不要だという簡単さだ。
しかも、これらユニットは全て荷物扱いになるため、事前の構造変更申請が不要。また、車体の改造も必要ないため、純正そのままの安全性を確保できるのもメリットだ。