イベントの規模縮小でもキャンピングカーは売れている!
全世界的な不幸である新型コロナ感染の拡大。ワクチン接種が始まっても、その勢いは衰える事なく、これは最早、エイリアンの地球侵略にも匹敵するインパクトだと言っても過言ではありません。その不慮の事態の中で聞こえてくるのが、キャンピングカーに対する注目度のアップです。
これもまた全世界的な傾向で、ロイターによるとアメリカでは、RV(レクリエーショナルビークル)メーカー、ウィネベーゴ・インダストリーズWGOの2020年6-8月期決算は約40%の増収。この他に、ドイツのドイツキャラバン産業工業会によればキャンピングカーとトレーラーの20年度新規登録は2020年11月時点で10万台を超えて年間新記録を達成し、キャンピングカーは前年度比4割増。フランスでは一年前にキャンピングカーの売り上げが4倍にも跳ね上がったとの情報もあります。
コロナ禍でも業績がアップしているキャンピングカー業界
この傾向は日本でも見られます。日本RV協会では、2020年の大手ビルダーや販売店の業績がアップしたデータを公開していますが、これによると、「伸び率が150%」になっているビルダーや販売店が8%! なかには「190%」を達成しているところもあったようです。
ボリュームゾーン別には「伸び率110~119%」が32%と一番多く、100~109%が24%、120~129%が20%、130~139%が16%と、ほぼ100~139%ゾーンに固まっていて、前年割は0%という状況でした。これは、コロナ禍の影響で、軒並み、キャンピングカー関連イベントが中止、または規模縮小で開催されたという非常に厳しい状況下での結果と考えると、まさに驚異的数値に値します。
(日本RV協会会員大手ビルダー&販売店より調査:2020年1
コロナ禍で有用性が改めて評価され注目され始めている
なぜ好調なのか? 色々な説がありますが具体的には下記の5つ。
1)キャンピングカーがレジャーの用途として認知されてきている。
2)アウトドアブームでオートキャンプがメディアに取り上げられる機会が増え、キャンピングカーも注目度アップ。
3)近年、キャンピングカーで滞在できる施設が増え、車中泊も一般に浸透。
4)コロナ禍で、海外旅行ができず、国内レジャーでは公共交通機関よりも、キャンピングカーで家族など「いつものメンバー」で移動する「走るソーシャルディスタンス」が評価されている。
5)キャンピングカーがレジャーだけでなく、災害等の有事の際にも役立つことが認知されてきている。
日常生活や病気療養時の宿泊スペースとして使いたいという声もある
日本RV協会の「新生活様式で見えてきたキャンピングカーへの期待」というアンケートでも「新生活様式を受けて、キャンピングカーを使うとしたら、どのような事に使ってみたいですか?」という設問には、1位はレジャーの54.7%は当然ですが、なんと「日常生活や病気療養時の宿泊スペース」が16.6%と2位につけています。
この状況に対しては、熟練工が必要で、人を増やすだけではダメなので、人員育成を含めた生産体制の確立と労働環境の改善をも検討している」とのことでした。
納車は速くても3ヶ月から半年
また、D社のM社長も同様に「今のこの様な状況でも販売は好調で『公共交通機関ではなく、キャンピングカーで移動するため』にと、前年比で1.5倍以上伸びています。納車は、やはりモデルによりますが、1年から1年2カ月、早くても3カ月から半年となっています。この状況に対して、やはり生産体制の強化に努めています」とのことでした。
なかなか普及が進まなかったリモートワークだったのですが、コロナ禍で必要に迫られて、多くの企業が実施。それが根付き始め、社会現象にもなっていきました。これと同様に、キャンピングカーもこれまでに認知度がアップしてきたところに、コロナ禍でその有用性が改めて評価され注目されてきていると言えます。