GT-Rを愛する写真家が出会った世界の愛すべきマニアたち
自らもGT-Rオーナーであるドイツ人写真家のアレキサンダー・キューレテム氏が世界中を回り、各国のGT-R乗りと親交を深めてきた。写真集「GT-R THE JOURNEY」に登場するフィリップ・バーントさんはドイツでR32スカイラインGT-Rに乗り続けるマニアのひとりだ。ポルシェやBMW、メルセデス・ベンツ。自動車大国のドイツであえてGT-Rを選んだ心意気を紐解く。
ミニカーやゲームから日本車に魅了された
日産GT-RやスカイラインGT–Rが人気を博しているアメリカやオーストラリア。それに比べるとヨーロッパではどうしてもその影響力は小さい。とくにドイツはポルシェやBMWなど、走りのパフォーマンスに優れたメーカーが存在することもあり、GT–Rはもちろん、日本車にとって厳しいマーケットである。
そんなドイツでGT-Rに夢中になっているのが、今回紹介するフィリップ・バーントさんだ。父親が自動車メカニックだったこともあり、幼少期よりクルマに触れてきたというバックグラウンドを持つ。本人曰く「マッチボックス(ミニカーブランド)製のダットサンをもらったことが日本車との初めての出会い」だと言う。
その後、ゲーム「グランツーリスモ」を通じて日本車の魅力に取り憑かれた。現在はドイツの資格である「マスタークラフツマン認証」のメカニックでもある。
シビックやCR-Xも乗り継ぐ日本車好きに
フィリップさんがGT-Rを手に入れたのはちょうど10年前。それまでもホンダのシビックやCR–Xなど日本車を乗り継いでいた。さらに家でも学校でも日本のクルマやカスタマイズを伝えるDVD(主にドリフト)を毎日観ていたそうだ。そんなフィリップさんにとって、GT–Rに乗ることは自然な流れだったと言えるのかもしれない。
とはいえ、やはりそこはドイツ。まず右ハンドルであり、しかも旧い日本車の輸入自体が尋常ではない行為だ。GT–Rを取り巻くマーケットが大きい北米市場などと異なり、情報や業者が限られてくる環境でもある。
「周囲からは正気ではないと言われていたよ。ボルシェもBMWもあるのにGT–Rかよって。ドイツにも日産ディーラーはあるけれど、持って行ったところで肩をすくめられるだけ。何もしてくれないしね!」