東モに出展された国産メーカー「4WD」コンセプトカーの歴史
国産自動車メーカーにとって1980年代半ばは「節目」の年だった。21世紀に向け新技術を満載したコンセプトカーが数多く展示された。4輪操舵の4WSが話題を振りまき、エンジンやサスペンションなどにも積極的に電子制御技術を導入していた 東京モーターショー2021は残念ながら中止のアナウンスがあったが、ここでは勢いのあった当時を振り返ってみよう。今回はモータージャーナリストの片岡英明が1980年代流行の技術だった「4WD」のコンセプトカー(いずれも市販はされなかった)にスポットを当て、当時を振り返る。
【日産CUE-X】のちにインフィニティQ45に繋がるコンセプト
日産は東京モーターショーCUE-Xを出品している。エレガントな6ライトウインドウの大型4ドアセダンで、走りの実力を高めるテクノロジーを満載した。
日産は早くから4WDの可能性に注目している。ビスカスカップリング式、センターデフ式に続き、日産はARC-Xに電子制御トルクスプリット4WDを採用した。これに4輪操舵のHICASを組み合わせている。足まわりは電子制御エアサスペンションだ。
また、前後に可動式のスポイラーを配し、液晶調光式ガラスサンルーフもいちはやく採用した。パワーユニットはVG30E型V6をDOHC化し、インタークーラー付きターボを加えたVG30DET型を搭載する。
【日産ARC-X】初代セフィーロをほうふつとさせるスタイリング
これに続く1987年の第27回東京モーターショーでは、日産はCUE-Xのコンセプトを受け継ぐARC-Xを出品した。
またARC-Xは、現代のクルマを先取りしたプレミアムセダンだった。電子制御LSDやHIDヘッドライト、バックレスト中折れ機構のパワーシートなどを装備している。
余談だが、ARC-Xに始まるコンセプトカーの技術は、後にインフィニティQ45に採用されて開花する。ARC-Xでは公開できない技術も多かったようだ。また、日産はハイパフォーマンスに耐えられる高性能4WDの可能性を追求したが、1985年当時、電子制御トルクスプリット4WDは難問山積で実用化のメドは立っていなかった。この技術は1989年夏、R32スカイラインに採用され、90年代に主役の座に就くのである。
【日産NEO-X】初代シーマのご先祖?
そして1989年のショーには発展型のNEO-Xをデビューさせている。
【トヨタFXV-2】市販を意識した実走可能なコンセプト
トヨタは1987年、量産化に向けたハイテクを満載したコンセプトカー「FXV-2」を出展した。前作「FXV」は4ドアだったが、こちらは2ドアで実際にデモ走行も行っている。
【三菱HSRシリーズ】6世代まで進化した一連のコンセプト
三菱も注目のコンセプトカーを出展している。1987年の第27回ショーに出品され、センセーションを巻き起こしたのがHSRだ。
【マツダ・ファミリア・スポーツ4】このまま市販してほしかった?
マツダは6代目ファミリアで4WDの実用化に成功し、世界ラリー選手権(WRC)にも参戦する。BG型ファミリアをベースにしたラリーバージョン「ファミリア・スポーツ4」と呼ばれるコンセプトを1989年に出展した。