「NAPAC走行会 in富士」で行われた「ブレーキの重要性」の啓蒙
4月21日に静岡県の富士スピードウェイで「NAPAC走行会 in富士」が開催された。日本自動車用品・部品アフターマーケット振興会(NAPAC)が主催する、今回で32回目の開催となるこのサーキット走行会は、1時間走行が2万2000円、2時間走行が4万円で本コースが走行でき、募集枠を超える申し込みがあるほど大盛況だった。
ブレーキはなぜ「放熱性」が重要視されるのか
そもそもブレーキとは、運動エネルギー(=クルマが走る)を摩擦で熱変換して大気に放出することで制動させる。つまり熱交換器。 ブレーキパッドの適正温度域とは、熱交換できる温度域のことである。また、大容量ブレーキシステムというのは、大型キャリパーと大径ローターによって、摩擦力を高めつつも放熱性も優れているから、高い熱交換容量があるとも表現できる。
ちなみにブレーキパッドの温度は、瞬間的ではあるが一般道でも300℃に達し、市街地でも150〜200℃くらいになるそうだ。同社のストリート用の3タイプの適正温度域は、Y SPORTSが0〜400℃、S SPORTSは0〜480℃、M SPORTSが0〜530℃、となっている。
ブレーキパッドの交換は「温度域」「制動特性」がキモ
また、ここでより注目したいのは制動特性だ。Y SPORTSとS SPORTSはブレーキ初期の制動力の立ち上がりが良い。しかし低ダストタイプと言われる後者のM SPORTSは、ペダル踏力に応じてジワッと制動力が立ち上がるコントロール性に優れた製品とのこと。それゆえに制動時間が長くなる傾向があり、パッド温度が高くなりがち。このことも考慮して適正温度域を高めにしているようだ。
ブレーキパッド選びは「普段走る場所」もキーになる
また、ブレーキパッドを選ぶポイントは「よく走るサーキット」も重要である。例えば富士スピードウエイよりツインリンクもてぎは、ブレーキを酷使するためパッド温度は高めになる。後者をよく走るドライバーならCC-Rgがいい。 ちなみに富士スピードウェイの場合、ピットイン時に計測するとピットロードで冷え始めていることもあり380℃くらい。走行中は最大で700℃くらいになっているはずだという。
ブレーキパッド交換の次のステップとしてこだわりたいのが、ブレーキフルード。沸点が高い製品は、ベーパーロックを起こしにくい。ブレーキフルードのラベルには「ウエット沸点」として上限温度が表示されているそうだ。沸点を考慮した適正なフルードに交換することでベーパーロック症状は回避できるのだが、ブレーキフルード選びをするときにはブレーキタッチ感覚に関わる粘度にも気を使いたい。
命を守るブレーキ。クルマ好きならなおさら、それぞれのパーツの役割をしっかり把握して、カスタマイズをしてほしい。