数少ないマニュアルモデルを堪能する!
サーキットなどでのスポーツドライビングを楽しむには「やっぱりマニュアルトランスミッションだぜ!」という人がまだまだ多い。
確かに、R35GT-Rなど2ペダルでもスポーツ走行を楽しめ、恐ろしく速いクルマは増えてきた。しかし、ヒール&トゥを駆使したシフトダウンなど「技」を繰り出す楽しさはマニュアルトランスミッション(MT)ならではのものだろう。 とはいえ、いまや新車で手に入るMT車は希少なものになってしまった。おそらく、今後もこの傾向は続くであろう。そして「昭和・平成の時代のクルマにはペダルが3つあったらしいぜ。昔の人は、その3つのペダルを同時に踏んで走るヤツが凄かったらしい」なんて会話がされるような時代も、そう遠くはないような気がする。
かつてMT車が多かった日産だが現状は?
昭和・平成の時代、走り屋御用達のクルマと言えば日産車が多かった。走りを楽しめるMT車のラインアップも多く、下はマーチから上はスカイラインGT-Rまでと、その選択肢は広かったのだ。
現在はどうだろうか。昨年時点でマーチNISMO S、ノートNISMO SとフェアレディZというラインアップしかなくなってしまった。さらにノートもフルモデルチェンジした2021年にはMT搭載グレードがなくなり、日産のMT車はマーチNISMO SとフェアレディZの2車種のみ(商用車を除く)という状況だ。
ならば今、この時代に3つのペダルを同時に踏むスポーツドライビングを楽しもうではないか。というわけで、今回はそんなスポーツドライビングを楽しめるイベントをふたつ紹介したい。
2018年からSCCN(ニッサン・スポーツ・カー・クラブ)が、K13型マーチNISMO SとE12型ノートNISMO Sを対象にした「MARCH & NOTE Circuit Trial」を開始した。それ以前の2008年からZ33型とZ34型フェアレディZを対象としたレース形式のイベント「Z-Challenge」もSCCNは開催している。どちらのイベントもB級ライセンス取得の義務はなく、免許証さえ持っていれば誰でも参加可能だ。
敷居の低い「マーチ&ノート サーキットトライアル」
まずは「MARCH & NOTE Circuit Trial」について解説してみたい。
このイベントはマーチとノートの中でも「NISMO S」シリーズのみが参加可能。すなわちMT車のみのタイムアタック形式のイベントだ。4つのクラスに別れていて、1500ccのマーチNISMO Sは1500N/1500C、1600ccのノートNISMO Sは1600N/1600C。それぞれNがノーマルクラス、Cがチューニングクラスとなる。
ノーマルと改造の2クラスにわかれる
Nクラスは基本的にノーマル。改造・変更が許されている部分はブレーキパッド&シュー。そしてタイヤのみ。ただし、今話題のハイグリップラジアルは認められておらず、各タイヤメーカーのセカンドグレードまでとなる。例えば、ブリヂストンならRE-71RSやRは認められず、純正装着のRE-11もしくは同社ならAdrenalin RE003までとし、ユーザーコストを抑えるようになっている。
一方のCクラスは改造範囲が広く、LSDや強化クラッチ、車高調整式サスペンション、ブレーキキャリパーまで変更が可能。エンジンに関してもかなり広範囲な改造が許されているが、現状ではチューニングパーツが少ないため、Cクラスに参戦するほとんどの車両は、吸排気系に加えコンピュータチューニングまでとライトな内容になっている。Cクラスのタイヤに関しては、ワングレード上のブリヂストンならRE-71RSやR、ダンロップならDIREZZA ZIIIまで使用可能だ。
車検対応と安全装備が参加条件
もちろん、全車ナンバー付き車両なので、車検が通る保安基準を満たしているクルマで、違法改造車は参加できない。
ノーマルクラス、改造クラスともに、4点式以上のフルハーネスベルトと前後牽引フックを装着すれば参加することは可能だ。ただし、いずれのクラスもブレーキパッドとシューをサーキット走行に適したものへの変更を推奨している。
またドライバー装備は、ヘルメットとグローブに関しては4輪用レーシングギアの着用が義務付けられているレベルなので、とくにレーシングスーツなどを用意する必要はない。
このイベントはほぼ同じ性能のクルマによるタイムトライアルなため、ラップタイムの差が少なく走りやすいと参加者の評判は高い。
かなり敷居の低いサーキットイベントだが、まったくのサーキット走行初心者に対しては、ドライビングレッスンの受講を強く推奨しているのでホームページで確認してほしい。