クラシカルな内装が外観にマッチしていた
内装に目を移すと外観以上にラシーンらしさは皆無。外観と同じくクラシカルな雰囲気でまとめられたインパネには、統一された書体の機械式メーターが備わり、雰囲気を損ねる1DINオーディオ(といっても1996年当時のカセット&AMFMラジオだが)にはフタが備わり、普段は目立たないようにすることができる。 クラシカルな内外装に合わせてフロントシートもラシーンとは異なるデザインのものが採用されているが、実はこれ、フィガロ用のシートがベースとなっている。表皮やステッチなどは異なるが、特徴的なヘッドレストの形状からお気づきになった人もいるのではないだろうか。
エンジンはチューニングが施されたSR20DEを搭載
搭載されるエンジンは、日産のエンジンの中でも名機と名高いSR20DEエンジン。NAのままチューニングを施し、180PS/20.0kg-mまでパワーアップされている。制作当時は170psだったが、2011年の修復時に10psパワーアップされているというのはオーテックらしいエピソードと言えるかもしれない。 そもそもラシーンにも同型のエンジンを搭載する「フォルザ」というグレードが存在していたが、A-10に関してはSR20DEを縦置きし(ラシーンは横置きエンジン)、後輪を駆動するという点でもベース車の面影はないといっても過言ではないだろう。 なお、縦置きされるエンジンに組み合わされるミッションは、シルビアや180SXなどに採用されていたFS5W71C型5速MTとなっている。
ちなみに余談ではあるが、ベースとなったラシーンは1.5Lエンジンを搭載する「タイプII」であり、駆動方式は4WD、ミッションは4速ATのものが使用されている。
企画から完成までわずか6カ月で完成!
このモデルはオーテック社内の有志によって作られたものだが、企画のスタートから完成まではわずか6カ月というもの。市販されなかったことは残念ではあるが、前述したように2011年には修復が行われ、現在でもオーテック里帰りミーティングなどでは走行する姿を見ることができる。 2021年となる今年はオーテック創立35周年ということになるが、またスペシャルなモデルを見ることができるのか? 40周年はどうなるのか、今から期待して待ちたいところである。