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時代を先取りし過ぎた「軽自動車のEV」! i‐MiEVが果たした「大きな役割」とは

電動化時代へ移行する中 i‐MiEVは生産終了

 三菱自動車工業のi‐MiEVは、世界初の量産市販電気自動車(EV)として2009年に法人向け販売が開始され、翌年に一般消費者へも売り出された。そして今年の3月で生産を終えた。累計販売台数は、約2万3000台であるという。 2010年に日産から発売されたリーフは、2代目へモデルチェンジをし、現在世界で累計54万台、国内累計で14万台の実績を持つ。それに比べるとi‐MiEVの台数は見劣りするといわざるを得ない。だが、軽自動車がEVになるとどのような性能や商品性が得られるのかという新たな価値の発見をもたらしたi‐MiEVが存在した意味は大きい。

軽電気自動車の先駆けである意義

 軽自動車は、いまやさまざまな価値を提供し、新車販売台数で3割前後を占める。とくにターボ車の性能は、登録車のコンパクトカーに匹敵するほどだ。そのうえでEVとなることにより、上質さを手に入れることができる。なによりガソリンエンジンに比べ圧倒的に静かになるし、不快な振動もない。駆動用のバッテリーを車載することで車両重量は増えるが、その分、細かな振動がなくなって乗り心地がよくなる。この2つが加わることで、高速道路を利用した長距離移動も快適になる。 都内から長野県の白馬まで、i‐MiEVに大人3人乗りで移動したことがある。後席の座り心地も快適で、車内での会話も弾み、楽しく移動できたのであった。

 簡単にいえば、EVなら軽自動車が小さな高級車となるのである。

 昨今、新車販売台数で5ナンバー車が人気を得、見直されてきているが、現在の軽自動車規格による車体寸法は、1960年代に日産サニーやトヨタ・カローラが誕生した当時の大衆車と車幅がほぼ同じで、国内の道路や駐車所枠で扱いやすいことは見逃せない。加えて、小さな高級車の価値を得て、長距離移動も楽になるとなれば、軽EVを選ばない手はない。 そうした価値を軽自動車のi‐MiEVで知ったが、衝突安全性能向上のため車体寸法が若干大きくなることにより、最終的にi‐MiEVは登録車扱いとなった。そして、販売台数の鈍化もあり生産を終えたのである。

日産&三菱の軽EVに期待が集まる

 i‐MiEVが生産されていた三菱自の工場では、日産が前回の東京モーターショーで公開した軽EVのIMkの生産を行うことになる。そして提携関係にある三菱からも、同様の軽EVが販売される見通しだ。

 日産は、リーフによって小型ハッチバック車としてのEV経験は豊富だが、軽EVは未体験だ。そこに三菱自を通じてi‐MiEVでの知見が活きることは間違いない。

 たとえば、日産がはじめて本格的に軽自動車開発を担った現行のデイズとルークスは、かつてGT‐Rの開発に携わった実験担当者が関わったことで、登録車と変わらぬ操縦安定性と乗り心地の両立が実現した。IMkの開発でも、三菱自という軽EVの経験者と連携できる意味は大きい。 そして、軽EVにおける原価低減の仕方もより踏み込んでできるのではないか。そこに、上記のEVであるからこそ小さな高級車の価値が得られるとしたら、軽EVのIMkが国内市場におけるEVの主力となる可能性は高い。これに、ヴィークル・トゥ・ホーム(VtoH)の機能も備われば、万全といえるのではないか。

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