ハイエースの定番カスタム「バッドフェイス」とは何か?
2004年に5代目モデルとして200系ハイエースがデビューすると、これまでさまざまなカスタム手法が登場してきた。当初、100系からの名残であるビレッドグリルをインストールしたアメリカンスタイルやクローム系ガーニッシュやベゼルを装着したラグジュアリー系が主流のなか、次第に20インチを履かせるホイールの大径化や各ショップやパーツメーカーからオリジナルエアロが登場するなど、2000年代中頃には少しずついまの200系カスタムの礎が築かれていった。
「バッドフェイス」の源流は「ユーロカスタム」だった
そんななか衝撃のパーツが2008年にデビューした。当時「オラオラ顔」という言葉こそなかったが、VWゴルフなどのユーロカスタムの手法をインスパイアした415 COBRA(ラブラーク)が「バッドフェイスボンネット」のネーミングで強面メイクできるボンネットを発売すると瞬く間に大ブレイク。その手法は、6型にまで熟成が進んだ200系ハイエースにおいてもメインストリームを駆け抜けている。
バッドフェイスとは「ボンネット下端をヘッドライトとグリルに被せる」こと
バッドフェイスボンネットの誕生はハイエースにとって必然だったのかもしれない。ヘッドライトやフロントグリルの一部にボンネットを被せることで、ハイエースのノッペリした表情が一気にメリハリの利いた強面に見せる効果を発揮する。
また、ボンネットの下辺を中央に向かって傾斜させる角度を各メーカーが独自のデザインでリリースしてきたことで、数多あるバッドフェイスからユーザーが好みのスタイル(=表情)を選べるようになったことも、誕生から12年以上に渡り定番カスタムとして君臨している理由だ。
ちなみに4型後期以降のモデル(一部車種を除く)から衝突支援回避パッケージの「トヨタ・セーフティ・センスP」(以下、TSSP)が標準装備されたことで、バッドフェイス化による弊害が気になる人も多いと思う。しかし、TSSPの作動に影響を与えない商品が多く、2020年5月発売の6型モデルではグリル内に収まるミリ波レーダーの位置が下げられたことでその心配がほぼクリアになっている。
その後「バッドフェイス」カスタムが大流行
スクエアで箱型フォルムの200系ハイエースは、良くも悪くも主張し過ぎない没個性なクルマだ。しかし100系の頃と比べると、200系以降は年々進化を続けていくなかで乗用車ライクで快適なクルマに変貌を遂げている。
商用車ゆえにスペース効率の良さがバイクレースやサーフィン、アウトドアなどの趣味の道具としてハイエースを選ぶ人が増えたこと、さらに商用と乗用を1台で賄うひとり親方の方々がハイエースを所有しながらカスタムを楽しむようになっていったことが、いまのハイエースカスタムに大きな追い風を吹かせたといえるだろう。