国内で2021年大会への準備を進める
東南アジア数カ国を舞台にラリーレイド「アジアクロスカントリーラリー(AXCR)」は、この新型コロナ感染症拡大の影響で、2020年大会は中止。2021年大会も現在のところ延期という措置で、開催自体がまだ微妙な状態ではあるが、参戦を考えているエントラントはそれでも準備を着々と進めている。車いすドライバーで青木拓磨選手もその2021年参戦車両のお披露目を行った。
例年8月に開催される「アジアクロスカントリーラリー」とは
アジアクロスカントリーラリーは、1996年に初開催となったFIA・FIM公認国際クロスカントリーラリー。これまでにタイ王国を中心に、マレーシア、シンガポール共和国、中華人民共和国、ラオス人民民主共和国、ベトナム社会主義共和国、カンボジア王国、ミャンマー連邦共和国などアジア各国を基点に走破。山岳部やジャングル、海岸、プランテーション、サーキットなどのさまざまなステージが用意され、毎年8月に開催されてきた。
青木拓磨選手は、WGPマシンのテスト中の事故により脊髄損傷となってしまい、車いす生活を余儀なくされた過去を持つ。2輪ライダーから4輪ドライバーへ転向後、パリダカ参戦や数多くのレースに挑戦を続けている。また今年はル・マン24時間レースへの参戦を目指している。青木選手はこのアジアンクロスカントリーラリーへは2007年に初参戦。これまで2018年の大会を除き12回参戦中である。
参戦予定車両はハンドドライブにモディファイされた「トヨタ・フォーチュナー」
今回シェイクダウンされたのはトヨタのアジア専売車種のSUV「フォーチュナー」。すでにこの車両で2019年のAXCRに出場している。エンジンはノーマルのままのAT車である。コクピットはイタリアのグイドシンプレックス社の手動装置を装着し、ブレーキペダルを取り払った青木選手仕様になっている。ドライバーとコ・ドライバー2名の3名が乗車するため、2列目にもシートが1脚あり、車両後部には2本のスペアタイヤとウインチ装置を搭載する。
2年前のAXCRに参戦した2019年仕様と比べると、フロントのブレーキまわりをプロジェクトμに変更するなど2021年大会に向けてリファインした車両となっている。
この日の走行は、装着タイヤ、ヨコハマゴムのジオランダーM/T G003のチェックも兼ねたシェイクダウンとなり、タイヤ総合的なテストを行った。この日のテストを受け、AXCRに使用する本番タイヤのチョイスをした。残念ながら車両のマイナートラブルが発生したため、予定していたタイヤの耐久テストといった項目は消化できなかったものの
青木選手は「今日はいい天気に恵まれて、シェイクダウンができました。今回はタイヤのテストも含め、ロングランテストも含め周回ができてデータを取ることができました。これを次回のテストの役に立つのではないかと思われます。次回のテストが楽しみです。本番は8月の予定でしたが、開催延期となってしまいましたが、TakumaGPは総合優勝目指して粛々と準備を進めていきます」とコメント。このフォーチュナーはこの後、ヨコハマゴムのジオランダーのカラーリングが施されることとなる。
AXCRは当初8月に開催を予定していたが、4月5日の段階でラリー開催延期を発表。主催者は2021年5月末に新しい情報を発表するとしている。