意外とたくさんある「当時モノ」「復刻」ホイール
当時のブームを知っている50~60代の人たちならば誰もが記憶に残っているはずの「スピードスター・マーク1」。潔いほどシンプルなディッシュデザインの通称「1円玉ホイール」だ。シリーズとしてクロスデザインの「マーク2」、ダブルクロスの「マーク3」と、同じテイストを踏襲してバリエーションを増やすことで一気にユーザーのハートを掴んだこのホイールたちが、今なおSSRのスピードスターブランドとしてラインアップされている。
それだけでなく、スピードスターのフォーミュラメッシュやマーク2、マーク3は15インチの深リムサイズ、いわゆる「当時モノ」モデルが4月に限定復刻された。しかし、こちらは1カ月と経たずに今年の数量を完売してしまったという。恐るべしヴィンテージホイールブームだ。
丸みを帯びた8本スポークの傑作、「RSワタナベ」の8スポークも現在でも絶賛生産中だ。
探せばあるもので十文字をモチーフにした「ワーク・エクイップ01」もそのひとつ。 桜のシルエットをあしらった奇抜なカタチの「弥生」もハズせない。日本語の製品名からして斬新で、ショッキングピンクをカラーバリエーションに加えた痛快なホイールは、限定復刻生産されたが現在は完売している。ユーザーの切実な要望次第では再販の可能性もあるかもしれない。
繊細な作り込みのメッシュ形状で攻めて、一際冴え渡っていたBBSのRS。残念ながら現在は20インチのみではあるが「スーパーRS」という名称でさらに洗練度を増して展開している。
往年のモデルを現代風にアレンジした「オマージュ」系ホイールも
当時の造形を今風にアレンジしているのがボルクレーシング21Cだ。昔の名前は「グループC」。旧車でも違和感なく履きこなせることを加味して、スクエアな5スポークも軽量化のためのタマゴ型スポークディンプルも最新技術で忠実に再現。
また同じボルクレーシングのTE37はその数多いラインアップのひとつに旧車に寄り添った「TE37V」を加えている。Vはもちろんヴィンテージのイニシャルである。
まとめ:古き良き時代の「熱」を取り入れよう
こうして意識して見渡していくと紹介しきれないほど見つかる「ヴィンテージホイール」は、昔のデザインをそっくりそのままリバイバルしたもの、新しいテイストを加えてリメイクしたもの、また当時のホイールをオマージュした新作と、同じように見えても実は微妙に異なった成り立ちによって分かれている。
そのどれもを旧車に使うだけではもったいない。創意工夫を駆使して現代のクルマにも履かせてみたいものだ。古き良き時代に無我夢中で挑んでいた荒々しさだったり、ひたすら新しさを追いかけていた威勢のよさだったり、そんなひたむきさを取り入れて思いを馳せる。令和の時代に、あえて昭和の心意気を味わってみるのは、なんだかとっても楽しそうではないか。