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「イギリスの名門」が本気を出し過ぎた! 「スバルの軽」ベースのスポーツカー「P2」とは

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TEXT: 井元貴幸(IMOTO Takayuki)  PHOTO: プロドライブ,SUBARU

GT-Rも真っ青!?だったスバル軽自動車ベースのプロドライブ「P2」

 イギリスの名門レーシングチームであるプロドライブは、レースやラリーで得たノウハウを活かし、コンプリートカーを製造しているメーカーでも知られる。初代インプレッサをベースとしたプロドライブP1はまさにそれにあたる。スバルとタッグを組み、スバル・レガシィを皮切りにインプレッサでのタイトル連覇を遂行したWRCでの大活躍の経緯もあり、プロドライブとスバルの関係は深い。そのプロドライブからなんと恐るべき市販スポーツカーの動きがあった。もちろんスバル車をベースにしていた「あのマシン」を振り返る。

スバル孤高の軽自動車「R1」がベース

 2006年のことである。構想からわずか9カ月で完成させたというユニークな二人乗りスポーツカー「P2」を、プロドライブはイギリスのバーミンガムで開催された「Autosport International」(オートスポーツインターナショナル)でワールドプレミアした。2006年に出現したプロドライブ「P2」

 このプロドライブP2は、スバルの軽自動車「R1」の頑強の誉れも高かったシャーシをベースにEJ20ターボエンジンを搭載したものだ。スバル「R1」

 今見ても先進的に見えるボディデザインは、マクラーレンF1を手がけたことでも知られるピーター・スティーヴンズによるもので、全長3910mm、全幅1855mm、全高1310mm、ホイールベース2500mmというコンパクトなボディサイズだった。

 軽自動車のシャーシに最高出力345hp、最大トルク575N・mを誇るプロドライブチューンのEJ20ターボ。重量はわずか1100kg、パワーウエイトレシオは350bhp/tonで、0-100km加速が3.8秒、最高速度は280km/hを誇っていた。

電子制御AWDシステムを採用

 インプレッサのラリーカーにも搭載されていたアンチラグシステム(ターボラグを解消するためのシステムで、アクセルがオフの状態でもタービンを回転させておく機構)が装備され、WRCで培ったノウハウが活かされている。「P2」リヤビュー

 組み合わされるトランスミッションは6速MTで、ATD(アクティブ・トルク・ダイナミクス)と呼ばれる専用のAWDシステムを搭載。このATDはスリップ・センサーにより4輪のうちもっともトルクを必要としているタイヤを感知し、自動的にトルクを分配するアクティブセンターデフと、アクティブリヤデフを用いることで、前後とリヤの左右トルク配分を制御。操縦特性を最適化してくれる。当時は市販車としては稀なシステムであったが、これもWRカーなどに採用されていた機構で、アンチラグシステム同様モータースポーツで得た知見が活かされている。バーミンガムに姿を現した「P2」

 足まわりで注目したいのは、この当時のインプレッサは4輪ストラットというシンプルな構造であったのに対し、プロドライブP2は4輪ダブルウィッシュボーンというかなり凝っていた点だ。もちろん車高調整も可能となっていた。ブレーキは前後ともにアルコン製4POTのモノブロックキャリパーを装備。フロントは355mm、リヤは330mmのディスクローターで驚異的なパフォーマンスを誇るP2をしっかり受け止める。またホイールは当時人気の高かったプロドライブ製鍛造ホイールGC-010Eの19インチ×8.5Jというサイズで、235/35R19のタイヤを履きこなす。まさに公道最速スポーツカーのプロトタイプだった。

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