FFハッチバックの存在を強烈に印象づけた「初代ゴルフ」
意外にも、FFハッチバックに最初にトライしたモデルは初代ホンダ・シビックだった。シビックは、各自動車メーカーからベンチマークとして研究されていたともいうが、世界中にFFハッチバックの存在を強烈に印象付けたのは初代フォルクスワーゲン(VW)ゴルフだった。 大型のリヤハッチゲートを持つ2BOXカーの発想は、人員の移動、手荷物の収納と多目的に自動車を使うことができた。また3BOXカーのトランク部分を切り落としたデザインは車両のコンパクト化につながり、若年ユーザー層、都市生活型ユーザー層から注目されることになり、ほどなくして小型車の標準的な形態として定着することになる。もちろん、イタルデザイン、ジョルジェット・ジウジアーロによるシンプルで端正なデザインが、商品力を引き上げていたことも紛れもない事実である。
FF2BOXは、実用性に優れたコミューター的な性格が強く、市場もそうした利便性の高い車両と認識していたが、この常識を覆すモデルが登場した。仕掛けたのは、ほかでもないFF2BOXを普及させた張本人、VWだった。