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「庶民のスポーツカー」の金字塔! 「ゴルフ初代GTI」が想定外のヒットを飛ばした理由とは

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TEXT: 大内明彦  PHOTO: Auto Messe Web編集部、フォルクスワーゲン

実用車の領域をはるかに超えた高性能「GTI」誕生

 世界的に国民車として受け入れられてきたビートルに代わり、その後を引き継ぐかたちでデビューしたゴルフだったが、1976年、ゴルフのスポーツグレードとしてGTIを登場させた。基本が実用性の強いモデルでも、スポーツ色を取り入れれば新たなユーザー層を獲得することができるだろう、という商品企画がその背景にあった。
 インジェクションを意味するIとGTを組み合わせてGTI。1588ccのSOHCエンジンに機械式燃料噴射装置のボッシュKジェトロニックを装着して110psを発生。同じ標準型ゴルフの1.6Lエンジン(キャブレター仕様)が75psだったことを考えれば、格違いの高出力、高性能エンジンだったことがうかがえる。また、1976年当時、燃料供給系に燃料噴射装置を使うことはまだ特殊な例(Kジェトロ装着例でいえばポルシェ911)で、逆に言えば、ゴルフGTIにかけるVWの思い入れ、本気度が伝わってくる仕様だった。

軽量なボディを生かした鮮烈な乗り味

 軽いゴルフの車体(820kg)に110psエンジンの組み合わせは、誰がどう考えても遅かろうはずもない。パワー・ウエイト・レシオは7.45kg/psと実用車の領域をはるかに超えるレベルにあった。さらに、もともと中速トルクが厚いVWのエンジン特性に加え、ピークパワーが上乗せされたことでその走りは俊敏、鮮烈なものに仕上がっていた。
 一方、価格設定が1万3850マルク(1976年末邦貨換算レートで約166万円)と思いのほか低めとなったことで、価格面でも同クラスのライバル車(厳密にはFFホットハッチは皆無だが)より有利な条件となり、メーカーの思惑を越えるヒット作となった。ちなみにゴルフ1は、総計678万台が生産され、そのうち46万台がGTIだったという。ゴルフは後継モデルも順調に売れ、現在にいたる累計生産台数は2019年に3500万台を超え、世界のベストセラー、ロングセラーモデルとなっている。

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