タイミングベルトの交換費用は高い!
タイミングベルトの交換は10万kmに一度でいいといわれても、その費用はけっこう高い。車種にもよるが、だいたい5~10万円ぐらいはかかる! 実のことをいうと、タイミングベルトの部品はけっして高いものではなく、ベルトの部品代だけなら5000~6000円ぐらい。あとの大半は工賃……。
タイミングベルトを脱着するにはいろいろなパーツを外す必要があり、手間と時間がたくさん掛かるからだ。整備性の悪いクルマほど外す部品は多くなるし、車種によってはエンジン本体を車体から降ろしたほうがいい車種も……。
また、水平対向エンジンやV型エンジンの場合、直列エンジンの倍近い手間がかかるし、縦置きエンジンか横置きエンジンかでも作業性が変わってくるので、車種ごとに見積もりを確認したほうがいいだろう。
「そんなに工賃が高いならDIYで」という人がいるかもしれないが、交換作業で必要なクランクプーリーの締め付けは、150N・m、200N・n、300N・mといった高トルクで締め付ける必要がある。スカイラインGT-RのRB26DETTなど500N・mという驚きの数字である!
こうなると普通の工具では歯が立たないので特殊工具が必要となる。プロに高い工賃を払うということは、それだけの技術と環境(工具)が必要だということを覚えておこう。
またタイミングベルトの交換費用が高いのにはもうひとつ理由がある。それはタイミングベルトと一緒に交換する部品が多いため。前記の通り、タイミングベルトが寿命を迎えるときは、タイミングベルトテンショナーとタイミングベルトアイドラプーリーのベアリングも一緒にダメになるので、これは必ず交換する。
あとはウォーターポンプ。エンジンに冷却水を流すウォーターポンプは、タイミングベルトで動かしている車種が多い。ウォーターポンプの交換時にはタイミングベルトの脱着も必要になるので、ウォーターポンプも10万kmを目安に交換するのがベスト。
タイミングベルトと一緒に交換すれば追加費用はほとんど部品代だけで、追加の工賃はかからないはず。錆びたり水漏れを起こす前に交換してしまおう。ウォーターポンプを交換するときは、もちろんクーラント(LLC)も交換したい。
さらに付け加えると、カムシャフトのオイルシールとクランクシャフトのオイルシールの交換もオススメ。10年10万kmも走っていたら、そろそろこれらのシール類からオイルが漏れてきてもおかしくない時期。せっかくタイミングベルトを外すのなら、このふたつのオイルシールは換えておきたい。
ちなみに、タイミングベルトは純正品以外に強化タイミングベルトを選べる車種もある。強化ベルトは切れたり伸びたりする心配はないが、カムスプロケットがアルミ製だと強化ベルトでスプロケが摩耗する可能性もある。
また裏ワザとしてタイミングベルトを交換し、数千km走った後ベルトの張りを再調整し、初期の伸びを補正しておくとベルトの寿命はグンと延びる。
タイミングベルトを交換するより廃車にしたほうが良い?
乗用車を乗り続けるうえで10年10万kmというのはひとつのターニングポイントになる。タイミングベルトだけでなく車体のあちこちから寿命を迎えるパーツが出てくるのだ。本当にいいコンディションで乗り続けようとすると、タイミングベルト交換代の5~10万円では済まないメンテナンス費用が一気に掛かってくる時期でもある。税金も新車登録から13年経つと自動車税が増税になるので、維持費が割高になってくるのは避けられない。 10年10万km乗ってもまだまだ愛着がある、ずっと乗り続けるという人は、迷わずタイミングベルトとその周辺パーツを一新するのがいいと思う。しかしそうでもないという人は、あと何年このクルマに乗るかということを考えて、その先のメンテナンスプランを考えたほうが良いかもしれない。
10年10万km以上のクルマとなるとタイミングベルト以外でも、エアコン、ハブベアリング、ブレーキ、クラッチ、各部のオイル漏れ、ターボチャージャー、ゴムブッシュ、ホース類、樹脂パーツなどが交換時期を迎え、そのたびに5万円、10万円と飛んでいく。
そろそろ買い替えてもいいかな、という人は、10万kmを迎える前、つまりタイミングベルトを交換する前に、新車あるいはより程度のいい中古車に乗り換えてしまったほうがお得かもしれない。このあたりは、一考の余地があるといえるだろう。
タイミングベルトは万が一切れると大事になるし交換費用も比較的高額だが、一方で10年10万kmという目安があるので、計画性は立てやすいメンテナンスだ。8万kmぐらい走ったらタイミングベルトの交換をどうするか、考えておくといいだろう。