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「速い=偉い」ではない! マイペースでサーキットを楽しむメリットとは

タイムばかりにこだわらないサーキットの楽しみ

 サーキットを走ってタイムが気にならない人はいない。とはいえソレばかりに執着すると本来の面白さを見失ったり、周囲が見えずクルマを壊してしまう可能性もあるのだ。せっかくの趣味を長く楽しく続けるため、適度に力を抜くメリットを知っておいて損はない!

サーキットにはいろいろな醍醐味が

 ヘルメットを被ってコースインすれば気分が昂ってしまうのは誰もが一緒。レースやタイムアタックのようなイベントは当然として、速さの絶対的な指針である「タイム」が気になるのは、順位の付かない単なるフリー走行でも変わらない。

 しかしサーキットの醍醐味はタイムだけではないのだ。中級に足を踏み入れた人ほど自縄自縛に陥りやすい。タイムが伸びないことがストレスになってしまい、サーキットから足が遠のいた人もたくさん見てきた。だからこそ、自分にタイム追求のプレッシャーをかけ過ぎないことだ。サーキットにはタイムを忘れて走るメリットは数え切れないほどあるのだ。それなりにお金と時間を費やす趣味だからこそ、時には「速さ」より「楽しさ」を重視してもいいだろう。

路面状況やライン取りの新たな発見も!

 ではムリをしないサーキット走行から得られる具体例を挙げてみたい。結果としてタイムに繋がる事柄であるともいえるが、気持ちに余裕があるからこそ気付ける、路面の特徴やいつもと違うライン取り、がある。速く走ることでいっぱいいっぱいな状態では精神的なゆとりが生まれるワケもなく、コーナーのカント(イン側とアウト側の勾配)やグリップが変わる舗装の継ぎ目などに気付きにくいし、ライン取りも教科書通りになりがちで別のことを試すのも難しい。

 しかしスローとまではいわずとも全開走行でなければ、ドライバーが得られる情報量は飛躍的に増えるのだ。それらを元にライン取りやブレーキングのポイントを組み立てれば、ラップタイムはモチロンのこと事故らない走り方も身に付く。安全の観点からいえばクルマの不調を自覚しやすいし、タイヤやブレーキの消耗もだいぶ抑えられる。

 プロドライバーのような上級者は別として、操作に集中するあまり異音や不具合に気付くのが遅れ、致命的なダメージを負ってしまうケースも珍しくない。よく聞くのはせっかく追加メーターを装着したのに、それらを見る気持ちの余裕がなくオーバーヒートや、油膜切れでエンジンブローなどという悲惨な結末。まさに宝の持ち腐れとしか言いようがない。

常にタイムアタックするわけではない

 また毎周のようにタイムアップを追求しコーナリング速度を上げ、ブレーキングポイントをどんどん遅らせていったら、曲がり切れなかったり止まり切れなかったりでクラッシュ。タイヤもブレーキも走れば走るほど熱を持ち、性能は低下するのだから冷静に考えれば当たり前と分かる。

 ドライビングに限らず集中するのはいいことではあるのだけれど、ことわざの「過ぎたるは及ばざるが如し」を忘れないように。メンタル的な部分でのメリットも少なくないからだ。

 最初のうちは走るたびタイムアップしていたのに、ある一定のところから伸び悩んで面白くなくなったり、誰かと比べて「こんなタイムじゃ恥ずかしい」と感じてしまい、サーキットへ行くのが重荷になった経験を持つ人もいるはず。そんなときはタイム計測をするのをやめたり、ラップボードをあえて見ないようにするのも手だ。

 初めて走ったときは直線でアクセルを床まで踏んだり、コーナーでちょっとリヤをスライドさせただけでも、興奮してテンションが上がっていたのを思い出してみよう。よく聞く話ではあるけれども、冷や汗をかくような怖い思いをしながら走っても、意外とタイムが出ていないどころか逆に遅い場合もある。タイムを出さなきゃ罰金を取られるワケでもないのだし、自分を追い込みすぎて楽しさを忘れては意味がない。

 適度な「力の抜き方とタイミング」を学ぶことが、速く安全にかつ長くサーキットを楽しむ秘訣ではないだろうか。

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