日進月歩の進化を遂げる中国車! これまで取材した「唖然」とする機能
中国の自動車市場が現在のような成長を遂げるひと昔前「中国車はコピーだ」「遅れている」なんてメディアが騒いでいた。では実際、中国車はどれほどの実力を持つのだろうか? 結論から先に言えば、これまで「意あって力足らず」だった中国車は「意あって力もある」状態で、完全に日本車が負けている部分もある。
ただ、中には張り切りすぎて「完全にやりすぎでしょ!」というシステムがしれっと市販されていたりして、唖然とする。以下、筆者は過去取材した中で、中国車で「正直、びびった」機能についてリポートしたい。
縦にも横にも回転するナビ画面
シートに座ると、インパネの中央にタブレット風の画面が鎮座。だが、異様にでかいし、存在感がある。タッチパネルのボタンを弄っていると、なんと画面が回転を始めた!
ちなみにこのBYD、付属のリモコンで無人状態で動かすことが可能。前後だけでなくハンドルも切ることができた。が、障害物があっても車両側は感知せず、止まらなかった(!)のには肝を冷やした(たまたまだったのだろうか)。完全に1/1のラジコン状態である……。
「顔文字」に話しかける車載インフォテイメントシステム
フォーミュラEに参戦するNIO(ニオ)。同社は自社製のスーパースポーツEVである「EP9」でニュルブルクリンク北コースを6分45秒25を記録するなど、話題性に事欠かないメーカーである。
「まあ、デザインはかっこいいけど、よくある中国新興メーカーのEVだよね」と思いながらドライブに入れて発進しようとする。すると、何か変だ。どこかから視線を感じる。「ん?」とインパネ上部を見ると、「顔」のようなものがこちらを睨んでいる(ように見える)ではないか!
これ、後付けメーター風の丸い画面に、丸がふたつ描かれた「顔文字」のようなものが表示されている。NIOのメーカーの人間に通訳を介して確認したところ、「音声認識による車載インフォテイメントシステム」とのこと。つまり、車載AIを視覚的に表しているということか。時折、顔文字が笑ったりする。
「萌えキャラ」を実装した車載インフォテイメントシステム
「顔文字に話しかける車載インフォテイメントシステム」は驚いたが、さらに想像の斜め上を行くものがあった。
2019年の中頃、中国北京近郊のサーキットで中国の「Bestun」というブランドの「T77」と呼ばれるSUVを取材した。エクステリアはどことなくレンジローバー風。ドアを開けるとインテリアはメルセデス・ベンツにアウディをトッピングしたような意匠。
が、インパネ上部に「あるモノ」を発見して、体が固まった。某ボーカロイド風のキャラが、いる。しかもこいつ、動くぞ!
ヘッドアップディスプレイと同じ理屈でキャラを映し出しているのだろうが、こちらの立てる物音に合わせてたまに「ゆるっ」と動く。エンジンをスタートし、ラジオをつけると、今度は音楽に合わせて軽快にステップを踏み出した。こちらも前述のNIOと同じ音声認識による車載インフォテイメントシステム(だと思われる)だが、筆者は中国語ができないので、このAI、というか「彼女」をうまく操ることができなかった……。
前述の「顔文字」と対話するのはまだしも、このキャラと車内で一人で語らうのは、ちょっとおじさんにはレベルが高過ぎる。「おもちゃレベル」と言ったらそれまでかもしれないが、現在の日本メーカーでは絶対に上司のハンコはもらえないだろう。
まとめ:いまはもっと進化しているかもしれない?
いかがだっただろうか。いずれもちょっと昔(2019年前後)の話ではあるが、日進月歩の進化を遂げる中国車メーカーだから、今回紹介した「デジタルガジェット」はもっと進んでいるはず。とにかく中国人の「こんな機能がほしい!」という願望(欲望、と言った方がいいかもしれない)がストレートに反映されていて、正直羨ましい。「自動車に夢がある」感がひしひしと伝わってくるのだ。おそらくかつて日本車もこの勢いを持っていたと思うのだが……。日本や欧州、北米とも異なる独自の進化を期待したい。