カーシャンプーの意外な効能「耐擦傷効果」と傷つけない洗い方
カーシャンプーは耐擦傷(さっしょう)効果が期待できる点もメリットだ。塗装面にスリ傷の原因となる砂粒などが付着していても、シャンプーの泡が包み込んでくれるため、塗装面にそれらの異物が押し付けられる度合いが軽減され、スリ傷を抑えることが可能(ホワイト/淡色車用の研磨成分は除く)。 また、シャンプーを含ませたウエスやスポンジなどは、シャンプーに配合されている“界面活性剤”の効果で、塗装面の上を抵抗なく、なめらかに滑らせることができる。摩擦を生じなければスリ傷のリスクも最小限に抑えることができるというわけだ。
ここでは塗装面をスクラビング(こする)の際のアイテムも大事。こだわりたいところだが、プロでもグローブタイプの布製モップや、化学繊維製のソフトクロス、羊毛100%のムートン、スポンジなど、使用しているアイテムは種々雑多。絶対的な正解はない。あえていうなら、塗装面へのタッチが極力優しく、泡立ちを妨げないもの。
ちなみに筆者は、食器洗いにならって使い込んでクタクタになった大判のスポンジを愛用している。いろいろ試して、使い勝手がよく、自分のフィーリングに合ったものを探してほしい。
不十分なすすぎ洗いは「シミ」「サビ」の原因に
どんなに塗装に適していて高品質なカーシャンプーも、使い方が誤っていたら効果が得られないばかりか、予期しない弊害を生むこともある。大事なのは希釈(きしゃく)率。つまり、シャンプーの原液をどの程度薄めるかということ。製品の容器には推奨の希釈率が記されているはずだが、勝手に「濃いほうがいいだろう」と考える人がいる。 たしかに濃度が高ければ泡立ちは増すだろう。が、ほとんど洗浄効果が変わらないうえ、泡をすすぎ流すのに無駄な水と時間を費やすことになる。なにより不経済だ。
それだけではない。不十分なすすぎで塗装面に残ったシャンプー成分はいずれシミなどの原因に。さらに言えば、ドアの内部など、ふだん目の届かない(塗膜の薄い)部分に残留したシャンプー成分がサビ=酸化を呼ぶ可能性もある。 正しい希釈率と丁寧なすすぎが大原則だが、年式の古いクルマや、いま乗っているクルマを長く乗り続けたい場合は、万全を期して“防錆剤”の配合を明記したシャンプーを選ぶようにしたい。
ここまでカーシャンプーの有用性について解説したが『過ぎたるは及ばざるがごとし』。シャンプー成分がクルマに与える影響はまったくゼロではなく、シャンプーを併用した洗車では多くの水を使い、汚水も大量に排出する。さらに、数多あるシャンプーの中には環境に好ましくない性質だったり、成分を含んでいるものもある。 汚れの程度は保管環境や走行する頻度、天候などによって大きく違う。「なにがなんでもカーシャンプー」ではない。水洗いだけで十分にキレイになることも認識しておくべきだろう。環境意識が高まるいまの時代、(エコに配慮した製品も販売されているものの)しょっちゅうクルマを泡まみれにして洗車している光景は、他人の目から見てあまり好ましいものではないようだ。