トランスアクスル化で両車ともに運動性能を向上
いずれもツインターボを備えたパワーユニットを搭載する。4.0L V8(AMG GT R)と3.8L V6(GT-R NISMO)はそれぞれ専用チューニングが施され、AMG GT Rは標準モデル比+55ps、GT-R NISMOは同+30psのズバ抜けた最高出力を発揮する。
駆動方式こそAMG GT Rの後輪駆動に対してGT-R NISMOは4輪駆動となるが、前後重量配分を最適化するべくフロントミッドにエンジンを搭載するとともに、トランスミッション(DCT)をリヤデフと一体化させたトランスアクスルレイアウトを採用する。
FRにこだわりながら絶大なトラクション性能を発揮させるメルセデス
メルセデスAMGは、最上級モデルに「4MATIC+」を採用することで、AWD=パフォーマンスの象徴として訴求していることが見て取れるが、スポーツカーのハイエンドと位置づけたAMG GTは、現在も後輪駆動にこだわり続けている。
その代わりというわけではないだろうが、AMGとして初めて4輪操舵システムを採用することで、後輪のグリップをより効果的に引き出し、コーナリング性能を高めることに成功している。
さらにはリヤの2輪だけで強大なパワーを受け止め、それを確実に路面に伝えるべく、9段階もの微調整が可能な最新の高性能トラクションコントロールシステムを与えた点も特筆できる。
おさらいすると、ベース車にも軽量で高い車体剛性を実現するアルミニウムスペースフレーム構造や圧倒的なパワーを後輪に伝えるためのカーボン製トルクチューブ、磁性体を用いた液体可変マウントを搭載。この液体可変マウントはドライビングの状況に応じてマウントの硬度を自動可変させるもの。激しい横Gに対してはマウントを硬めて、ドライブトレインの質量が走りに与える影響を抑えてロールモーションの低減を図るという、他のメーカーがまだやっていない手法にいち早くチャレンジしている。
R32型から継承する4WDにこだわり続ける日産
一方の日産GT-Rは、タイヤの性能を最大限に引き出すためには駆動力を4輪に振り分けたほうが有利なことから4WDありきで開発されている。そのコンセプトは、1989年に登場して大きな衝撃を与えたR32型スカイラインGT-Rから受け継がれている。
ただしトランスアクスルで4WDを実現するのは非常に難しいこと。そこで一度リヤに伝えた駆動力をフロントに戻して前輪を駆動するという、斬新な手法を採用している点にも注目である。
もうひとつ、両車とも力を入れているのがエアロダイナミクス(空力)だ。派手な外観には理由があり、600ps級のパワーを誇るとなれば、それをしっかり路面に伝えることもまた大事。車速が高まるほど、空気と上手く付き合うことの重要性を求められるのだ。