アクセル操作に対して俊敏に反応するEVが安全&安心
電気自動車(EV)の利用が、高齢者を含めより幅広い運転者によいと薦める理由のひとつは、アクセルペダルの操作に対しクルマが的確に発進・速度調節できることだ。
エンジンは、アクセルペダルを踏み込んでから、踏み込み量に応じた燃料(ガソリンまたは軽油)がエンジンに供給され、空気を圧縮しながら混合気が形成され、そこにガソリンエンジンなら点火プラグによって着火、そこから燃焼が行われ、燃焼ガスが膨張してはじめて回転力が生まれる。 しかしモーター駆動のEVなら、アクセル操作をした通りにすぐ電気が流れ、モーターが回転力を発生するので、操作に対するクルマの動きに遅れがない。たとえば見通しのよくない車庫や路地から通りに出る際など、動き出しが鈍かったり逆に飛び出すようになってしまったりする不安がなく、EVなら安心かつ安全だ。まだ一充電走行距離が現行型に比べて短かった初代日産リーフを購入した人のなかに、それを最大の利点として満足していた女性がいる。
さらにモーター駆動ならではのワンペダル操作が加わると、ペダル踏み替えの回数を減らすことができ、日産の試算では7割減らせるという。コツを呑み込んでうまく利用すれば、9割減る人もあるようだ。
正しい運転姿勢を叶えるテレスコピック未装着が残念【日産リーフ】
日産リーフは、リチウムイオンバッテリーの容量の違い(62kWhと40kWh)で選択肢がある。これは、他のEVではあまり例がない。あまり長距離移動をしないのであれば標準仕様で十分だ。車両価格も60~80万円ほど安い。たまに遠出をするときは、急速充電をしながら適度な休憩をとって移動するのが安全運転のためにもよい。
一方、欠点として気になるのは、ハンドルの調整にテレスコピックが採用されていないことだ。テレスコピックとは、ハンドルの前後位置を調節する機能である。ちなみに、チルトはハンドルの上下位置の調節機構だ。
EVとしての機能とは別の話しにはなるが、クルマの基本的問題である。高齢になると足首の動きやペダル操作での足の上げ下げなどが衰え、十分に行えない場合がある。運転姿勢をとるうえで、ペダルが近すぎると踏み間違えの懸念が生じる。そこでテレスコピックによってハンドルの前後位置を調節できると、ハンドルを的確に握れる位置決めができる。それと同時にペダル操作で足の動きが窮屈にならない位置に座席を合わせることも可能だ。
正しい運転姿勢によって手足の動きが自由にできると運転も疲れにくくなる。チルトとテレスコピックというハンドルの位置決めの機構は誰にとっても重要な装備だ。こと高齢者にとっては不可欠な機構といえる。それがリーフには不足しておりクルマ選びするときのポイントとして押さえておきたい。