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ケチった結果が大惨事に? サーキット走行に適した「ブレーキフルード」の選び方

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TEXT: 佐藤 圭(SATO Kei)  PHOTO: Auto Messe Web編集部

絶対に回避したい「ベーパーロック現象」とは

 では何故高い沸点が求められるのか。車重や走り方によって多少の差はあるものの、サーキット走行中のブレーキパッドは300℃を超えることも珍しくない。その熱がブレーキフルードに伝わって沸騰し、発生した気泡によって起きるのがベーパーロック現象。ブレーキペダルをいくら踏んでもフワフワした感触で、減速しないのはドライバーとして恐怖でしかない。サーキット走行に適したブレーキフルードの選び方 それを防ぐために有効な手段がDOT4やDOT5といった規格のフルードなのだ。サーキットに限らずジムカーナなどスポーツ走行をたしなむ人や、ハイパワーだったり重量級のクルマであれば、最低でもDOT4を使うことをオススメする。なおブレーキフルードの規格はDOTだけとは限らず、日本のJIS規格に準拠したアイテムもある。それらはBF-3やBF-4やBF-5と表記されており、DOTと同じく数字が大きいほど高性能と考えていい。サーキット走行に適したブレーキフルードの選び方

レース用フルードと同等の沸点とロングライフを両立した「DOT5.1」

 それと近年になってよく耳にするのが、DOT5.1という小数点が付いた規格。コレは従来のDOT5における弱点だった吸湿性の高さ、つまり劣化の早さを大きく改善した製品のことを指す。サーキット走行に適したブレーキフルードの選び方 DOT5はシリコンでDOT5.1を含む他グレードはグリコールと主成分が異なり、レース用フルードと同等の沸点とロングライフを両立させ、性能/寿命/価格のバランスを重視した規格といえる。純正からアップグレードするときの指針としては、街乗りがメインでたまにサーキットならDOT4。サーキット走行の頻度が高いならDOT5.1、サーキット専用ならDOT5がベターだろう。サーキット走行に適したブレーキフルードの選び方

ブレーキフルードの「交換サイクル」はどれくらい?

 最後に交換サイクルの目安について。街乗りオンリーでDOT4以上を使っているなら2年もしくは2万kmが基準、ワインディングを走る機会が多い人は半年から1年で、サーキットを走るならエンジンオイルと同じで毎回の交換が理想だ。どれだけ優れたパッドやキャリパーを使っても、フルードが劣化していたら性能は発揮できない。大きな事故に直結するパーツだけに甘く考えず、選び方とメンテナンスはくれぐれも慎重に!サーキット走行に適したブレーキフルードの選び方

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  • 佐藤 圭(SATO Kei)
  • 佐藤 圭(SATO Kei)
  • 1974年生まれ。学生時代は自動車部でクルマ遊びにハマりすぎて留年し、卒業後はチューニング誌の編集部に潜り込む。2005年からフリーランスとなり原稿執筆と写真撮影を柱にしつつ、レース参戦の経験を活かしサーキットのイベント運営も手がける。ライフワークはアメリカの国立公園とルート66の旅、エアショー巡りで1年のうち1~2ヶ月は現地に滞在。国内では森の奥にタイニーハウスを建て、オフグリッドな暮らしを満喫している。
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