クルマの大きさと全方向の視界の良さも重要
年金生活となった高齢の両親に薦められるのはどんなクルマだろうか。まずは価格。できるだけ安いに越したことはないが、予算200万円というのが許せる範囲ではないか。
そして忘れてはいけないのが、無理のないランニングコストで済むための燃費性能、エンジンの排気量だ。燃費が良ければ燃料代が助かり、エンジンの排気量が小さければ税金面で有利になるからである。
【ダイハツ・ロッキー】最大17種類もの先進運転支援機能が付く
そんな要件にぴったりのクルマとして、まずお薦めしたいのがダイハツ・ロッキーだ。価格は200万円前後で、5ナンバーの扱いやすいボディサイズ。クロスオーバーSUVならではの見晴らしのいい視界。セーフティ・サポートカーに認定された「2019年度自動車アセスメントJNCAP衝突安全性能評価」でファイブスター賞受賞の安全性能。最大17種類もの先進運転支援機能=スマートアシストといった基本的な安全性能はもうバッチリ。
何しろ前後誤発進抑制機能には、このクラスでは装着例の少ないブレーキ制御まで付いているのだ(多くは抑制のみ)。さらにACC(アダプティブクルーズコントロール)やブラインドスポットモニター、リヤクロストラフィックアラートといった先進的な安全機能まで付いているグレードもあるから超安心。駐車時にもオプションのパノラマモニターを付ければラクラク、安全に駐車が可能になる。
エンジンは1Lターボのみで、燃費性能に優れるとともに重量税も安上がり。さらにダイハツ・コネクト(スマホ接続が必要だが)によって、家にいる家族がロッキーに乗って出かけた高齢の親をスマホで見守れる親切機能まであるのだから文句なしである。
ちなみにお友達の多い親の場合、ロッキーなら後席に友人を招き入れるにも最適だ。とにかく後席は圧倒的に広く寛ぎやすく、フラットフロアによって足元もゆったり。だから(ヒンジ式リヤドア車としては)乗り降りもしやすいのである。
【トヨタ・ヤリスクロス】電子パーキングブレーキ&オートブレーキホールド機能付き
同じく視界の高さで運転がしやすいクロスオーバーSUVの超人気車種、トヨタ・ヤリスクロスもお薦めだ。ハイブリッド車だと200万円中半になってしまうが、ガソリン車なら200万円前後のお手頃な価格に収まる。重量税も1.5L未満の排気量だから高額にはならない。
足踏み式サイドブレーキに比べラクで、とくに信号待ちやスーパーマーケットなどの料金所でチケットを取る際などに、ブレーキから足を放しても停止保持できるオートブレーキホールド機能は安全・安心・快適。足腰が弱って高齢者にとって実に有益な機能となる。
【ホンダ・フィット】見晴らしの良い視界と安全機能が充実
クロスオーバーSUVは高めの視界によって見晴らしのよさが安全につながるのも魅力のひとつ。ただ、足腰の状態によってはシート位置が高めで乗り降りがやっかい……(上記の2台はそんなことはありませんが)というのなら、ホンダ・フィットである。
【日産ノートe:POWER】先進的な運転支援機能がたっぷり
高齢とはいえ、電動車やクルマの未来に興味を持っている親には日産ノートe:POWERという選択肢もありだ。e:POWERとはモーターとガソリンエンジンを融合させた新しい電動パワートレイン。駆動は日産リーフにも搭載している大出力モーターで行い、エンジンはその発電に使われるシステムだ。
さらに、プロパイロット、SOSコール、オペレーターサービスなど、先進的な運転支援機能、つながる安心も用意。高齢者の親がノートを選ぶのであれば、ぜひ日産コネクトナビを装備し、走行中にスポット紹介、目的地設定の遠隔操作まで行ってくれるオペレーターサービスを利用できるようにアドバイスしてあげてほしい。その安心感は高齢者でなくても絶大なのである。
【マツダ2】ライバルにない超オシャレなインテリア
今でもオシャレさんという高齢の親にぴったりなのがマツダ2(以前のデミオ)ではないだろうか。
こうしたクルマたちなら、年金生活となった両親の懐にやさしい晩年のカーライフを安全・安心・快適かつリーズナブルに楽しめると思う。いずれせよ、低予算であっても事故を未然に防いでくれる先進運転支援機能にはケチらないことがポイントである。
そしておせっかいな話だが、家で待つ身としてはクルマのコネクテッド機能、SOSコール、あるいはスマホの現在地の共有(グーグルマップで可能)による高齢の親の位置確認はぜひとも導入していただきたい。そうした「安心」は、クルマを運転する高齢の親本人だけでなく、親を送り出すこちらにも必要だからである。