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自民党モータースポーツ振興議員連盟も注目! 車いすのレーシングドライバー青木拓磨のスクールが面白い

国会議員が手動装置でサーキットを走行

 車いすドライバーの青木拓磨選手が主催するHDRS(ハンド・ドライブ・レーシング・スクール)。千葉県・袖ケ浦フォレストレースウェイで2021年最初のスクールが5月17日に開催された。風が強く、たまに雨がちらつくようなあまり良い環境ではなかったものの、6台の持ち込み車両と見学や同乗希望者ら、15名の健常者・障がい者が参加した。

 青木拓磨選手は、2輪ロードレース世界選手権(WGP)に参戦を開始した翌年の1998年シーズン直前にGPマシンのテスト中の事故によって脊髄を損傷。下半身不随となり、それ以後レース・フィールドを4輪に移し、積極的にレース活動を行っている。その青木選手が立ち上げたスクールであるこのHDRSは、健常者・障がい者が分け隔てなくサーキット走行を楽しもうという趣旨のもと開催されている。

青木選手が直接指導するレーシングスクール

 レーシングスクールといいながらもレースを行うことを目指したものではない。自身のクルマを持ち込んで、サーキット走行を楽しみながら、車両の性能をしっかり使い切ることを体験できる機会となっている。

 とくに身体の一部に力が入らない障がい者にとっては、健常者以上にシートベルトの正しい装着が重要。さらに上腕だけで車両の操作をする車いすドライバーとして、無理のない操作を的確に行える乗車姿勢を再確認できるイベントとなっている。青木選手が直接指導する機会も多く、他にはない特色あるスクールとなっている。

自民党モータースポーツ振興議員連盟の岡敏孝衆議院議員も参加

 今回、このHDRSに自民党モータースポーツ振興議員連盟による視察が行われた。当初は、会長である古屋圭司衆議院議員を始め、中山泰秀衆議院議員、青山繁晴参議院議員、そして大岡敏孝衆議院議員の4名が参加予定だった。しかし、残念ながら緊急非常事態宣言下ということで、会を代表して、大岡議員が感染予防に配慮したうえで参加した。

 大岡議員は、超党派議員連盟「バイカーズ議連」の会長も務めており、その議連の代表として「パラモトライダー体験走行会」への視察をきっかけに、このHDRSの存在を知ったという。「パラモトライダー体験走行会」は、青木拓磨のの兄弟の長男・青木宣篤選手と三男・治親選手のふたりが立ち上げた非営利支援団体である一般社団法人サイドスタンドプロジェクト(SSP)が開催している一般の障がい者を対象とした体験会。

 今回のHDRSは4輪でのレーシングスクールということで、バイカーズ議連ではなく、モータースポーツ議連への働きかけをし、自ら代表視察をかって出たという。

 大岡議員は「今回は青木選手の側から議連に対してぜひとも視察をしていただきたいという要請がありました。それを受けて、自民党MS議連の総会を開きまして、議連として支援しましょうという決議いたしました。あいにくの緊急事態宣言のため、移動自粛という話になりまして。かといって一旦支援を決めたことに対して誰も行かないというのも。ということで、私が今回ご挨拶とお話を承りに来たという次第です。運営は順調のようですので、行政としての理解を求められました。今回はスポーツ庁からも障がいスポーツ担当者をひとり同行してもらいましたので、モータースポーツへの認識がこれまでなかったので、いい機会になったと思います」。

「機械は人それぞれに合わせて、オーダーメイドでアタッチメントとか作れます。だから機械の力を借りれば、広く一般に言われている障がいがじつは障がいじゃなくなるという話を拓磨選手から聞きました。すごく重要な指摘だし、重くて的を射た言葉だと感じました。モータースポーツは他のスポーツ以上に機械の領域が大きいからこそ、健常者と障がい者が同のフィールドで戦えるようになると思っています。そのモータースポーツの先行しているノウハウが、能力の欠損してしまった部分を機械で補えばという発想で、他のスポーツに広く影響を与えることができるんじゃないかと思います」。

 大岡議員は、青木選手が運転するHDRSのアクティブクラッチ装着車両(マーチカップ車両)に助手席で同乗体感したうえで、実際に他の参加者と同様にパドックでの体験走行でこれの操作を確認したうえで実際にサーキットに出てハンドドライブの走行を体験した。走行を終えた大岡議員は「普段使わない親指の付け根が攣りそう」と感想を述べていた。

初参加でも楽しめるHDRS

 また、今回これに初めて参加する参加者もいた。山村泰史さんは15歳の時に車外放出の事故に遭い、胸椎5-6の脊椎損傷で下半身の不全麻痺。さまざまなスポーティカーに乗ってきたということだが、ハンドドライブのレーシングカート以外で本格的なサーキット走行は初めて。

 麻痺の関係で左ハンドル車のほうが乗りやすいということで、この車両を購入。車両はフジオートのアイテムを装着して使用している。ステアリング操作はFUJICON SG-12グリップを装着して右手で操作、加減速は同じくFUJICONのコラムタイプの手動装置でシフト操作ボタンも装着する。

「これまでもHDRSに来たいと思っていたんですが、なかなか時間が合わず今回ようやく参加することができました。初めてのサーキットは楽しかったです。もう少し速く走ってみたいとも思いましたが、無理しないところで止めたほうが良いかなということで、今日は2本の走行だけで終わろうと思います。サーキットを走ってみるとシートのホールドがもう少し強いといいかなと思いますね。時間ができたら趣味としてもう少しやっていきたいです」とコメントしてくれた。

 一日を終えて、スーパー耐久シリーズに参戦しておりHDRSにサポートドライバーとして参加している山田遼選手は「前回よりも平均5km/hほど速いイメージで先導走行ができました。他のスポーツと一緒で何度も足を運んで感覚を自分のものにしてほしい」とコメントした。次回は7月21日(水)に開催予定だ。

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