ふたりで手を繋ぎ見た満天の星空
出発から2カ月、8月に入るとついに北海道に上陸。以前の二人の約束を果たすため、じっくり1カ月かけて北の大地を堪能したそうだ。この旅のお陰で夫婦の関係にも変化があったという。「狭い空間で長い時間を過ごすわけですから、それまでよりもっと近い存在になったように思います。この旅に出るまで手なんて繋いだことはなかったのですが、電灯ひとつない真っ暗な中、トイレに行くこともありますからね。自然と手を繋ぐようになりました」降るような満天の星を手を繋ぎながら眺めた夜も、鞆夫妻の大切な思い出になっている。
9月に入ると北海道を後にして本州へ。日本海側にルートを取った。新潟ではタラバガニ、輪島の朝市ではサザエを満喫した。毎日続く日本一周のブログを見ていると、鞆夫妻はとにかくアクティブだ。グルメ、温泉、名勝巡り。そして人との交流も含めて心から旅を堪能していた。
そんな二人の旅は9月30日、出雲大社に参拝した後に19時帰宅で終了した。じつに124日間という長い道程だった。地元のGT-R仲間たちはブログを通してこの旅を見守り続けていたから、きっと胸を撫で下ろしたに違いない。「鞆さんは仲間内でも最年長。病気のこともあったので心配することもありましたが、結局手術してサイボーグになって帰って来たんだ、という結論になりました」と鞆さんの友人が教えてくれた。
「日本一周は私の旅好き人生の集大成のつもりでした。でも、正直に言えばまだまだこれから。じつはいつ2周目に出発するか、密かに考えているんですよ」コロナ禍のため、2周目はまだ実現していないが、落ち着いたら再び! 鞆さん夫妻の旅はまだまだ続くのである。