③「素直じゃない」リトラクタブルヘッドライト
“素直じゃない”リトラクタブルヘッドというのもあって、それが反転タイプ。オペルGTは横から。4代目コルベットはそのまま180度、クルリと回ってライトが現れた。まるでドンデン返しみたいで、実際に見るとやりすぎ感というか、そこまでしなくてもと思うほどだ。
④ポップアップ式ヘッドライト
変則という点では、ポルシェ928やランボルギーニ・ミウラの起き上がり系も含まれるだろう。スーパーカーブームの頃、ミウラはどうやって前を照らしているのだろうか? もしかしたら、寝たままでも問題なく照らすことができるのかもと思ったものだが、実際は後ろが持ち上がるのが正解。928は見たまんま直感的に予想できて、一目瞭然だった。
番外編:リトラクタブルヘッドライトの「動力源」
そしてリトラクタブルヘッドの番外編として紹介したいのが名車として名高いロータス・エランだ。前に開くタイプなので一見すると普通だが、モーターではなく、エンジンの負圧を利用しているので、ダラっと開いて、しかも両方同時でなく、ズレることが多くて違和感がありありだった。
⑤コンシールドタイプライトカバー
リトラクタブルヘッドから離れてユニークなタイプを探してみると、日本車でもあったのがギャランのルーツとなるコルト・ギャランで、ルーバー(純正オプション)が付いているのが特徴。スクエアなボディと相まってちょいワルな雰囲気が漂っていた。
このあたりは関わっているとされるジウジアーロの指示なのかもしれない。しかし、途中で丸目に変更されて、ルーバーも廃止となってしまった。ルーバーも含めて、現在はライトの前になにか遮るものを付けることが法的にできない。
⑥ヒドゥンヘッドライト
そしてアメ車が好んで採用していたのが、ただのフタ。リトラクタブルヘッドも似たような思想なのかもしれないが、点灯させないときはフタが付いていて、点けるとフタが上に収納されるというスタイル。厳密に言うと空力も少しよくなるだろうが、基本的には閉まっているときののっぺりとした感じがいいのだろう。
フォード・トリノ、ダッヂ・チャージャー、キャデラックなどに採用されていた。ちなみにキャデラックにはスーパーカーブームの頃に実際に乗せてもらったことがあって、ライトも点けてもらってカウンタックみたいでスゲー、と喜んでいたのを覚えている。とにかく隠れているライトが、中から出てくるというのは画期的なことだった。
そのほかにも、時代を先取りしすぎたシトロエンDSやSMはステアリング連動タイプを採用しているなど、ライトひとつとってもユニークだったり時代を反映しているものがけっこうある。その点では、最近のライトは少々つまらないのかもしれない。