「公式レース」と「草レース」それぞれのメリット&デメリットを解説
クルマを使ったレースは大きくふたつに分けられる。ライセンスや専用の装備などが必要な『公式レース』と、運転免許さえあれば参加できる『草レース』だ。双方の魅力や参加までのプロセス、費用などを比較してみたい。
国内で公式レース参戦に必要な「A級ライセンス」
本気でサーキットを走っている人なら誰もが意識するであろうレース。クルマを使った競争であるため同じに感じるかもしれないけど、実際にはさまざまなカテゴリーがありルールも異なっている。総称での「レース」を大別するポイントは、いわゆる「ライセンス」が必要か否かだろう。まずは公式レースに参加するための、ライセンスについて手短に説明したい。JAFが発給するモータースポーツのライセンスは複数あり、日本でのレース参戦に必要なのは「国内A級」となる。
取得する方法は公認サーキットにおけるスポーツ走行の経験や、ジムカーナやサーキットトライアルの完走といった条件を満たし、かつ講習会で筆記および実技の試験に合格しなければならず、手間や費用はそれなりにかかり毎年ごとの更新も必要。
公式戦と草レースで装備品に違いはある?
続いてはドライバーの装備に関して。公式レースはFIA公認のレーシングスーツ/グローブ/シューズ/インナーウェアに加え、4輪用のヘルメットやカテゴリーによってはhans(頚椎を保護する安全装備)が必須だ。規格が変われば装備を揃え直されなければいけないし、ヘルメットは製造からの年数も明確に決められている。
当然ながら公式レースのほうが費用はかかるものの、コレをデメリットと考えるのはいささか早計に過ぎるだろう。安全装備を充実させることにマイナス要素は存在せず、レース前の車検やレスキューの体制が確立されていない(全部がそうとは断言できないが)草レースは、公式レース以上に安全対策すべきという考えの人も多くいるのだ。
カスタムの改造度はどちらがある?
次にカスタムの自由度について考えてみたい。公式レースはカテゴリーにもよるが、戦闘力の差をなくすため多くの部品が主催者から指定され、かつチューニングもノーマル+αといった程度に抑えられている。そのため過激なチューンドカーに慣れた人にとっては、ちょっと物足りなく感じてしまうかもしれない。
レース終了後の「特典」に違いは?
そして公式レースの入賞者にはトロフィーや景品が授与され、シャンパンファイトやインタビューを始めとする「勝者の特典」も。さらに各戦ごとにポイントが与えられ、最後にはシリーズを通してのランキングが確定し、スポンサー活動やステップアップの材料となる。ただし草レースもイベントによっては同様のシステムを採用しており、そこから公式レースへ上がっていく道筋も大差はないはずだ。
レースの費用はどちらがかかる?
ラストはそれぞれの費用に関して。以前の公式レースはナンバーのない車両ばかりで、何をするにも積載車を使って運ぶ必要があった。近年ではナンバー付き車両によるレースが増え自走でサーキットに来ることも可能だが、事故のリスクを考えてか依然として積載車で運搬するエントラントが多いように思われる。
草レースでも積載車を使う人はいるけど、比率としては自走のケースが主流だろう。また草レースは1日で予選と決勝が行なわれるのに対して、公式レースは土曜が予選で日曜に決勝と2日間を要する場合が多く、日程的なハードルが高くなってしまうことは否めない。気軽さと自由さがウリである草レースと、正反対の厳格さがステータスの公式レース。アナタの目にはどちらの「レース」がより魅力的に見えるだろうか?